新築区分マンションにおいてもモデルルーム非設置の動き

 新築区分マンションにおいてもモデルルームやコンセプトルームを設置しない動きが出てきました。不動産経済オンラインの記事 (提供日刊不動産経済通信) から引用します。

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東急リバブル、新築住宅の新たな販売手法を開始 ―VR活用し銀座1拠点で案内、顧客は好反応
2022年6月13日

 (提供日刊不動産経済通信)東急リバブルは、新築住宅の販売でモデルルームやコンセプトルームを設置せず、デジタル技術を駆使したバーチャルシアターなどを整備した1拠点で案内する新たな手法を展開している。集約型の販売拠点「銀座サロン」を5月14日に開設。自社開発の新築分譲マンション「ルジェンテ駒込六義園リビオレゾン」(総戸数51戸)の案内を開始し、すでに約50組に対応した。すべての間取りの室内空間や各階からの眺望を体感できる点などが顧客に好評という。
 サロンは予約制。物件エントリーをしてウェビナーに参加、個別のオンライン商談を終え、具体的な検討に入った顧客に来店を案内する。バーチャルシアターではVR内覧システムを活用し3方向の壁面と床に投影した3DCGで原寸大の室内空間を再現。家具も寸法付きで映し出し家具配置のシミュレーションもできる。物件内のすべての間取りに対応、各階からの眺望も投影できる。そのほか、大型モニターでは、VRを活用し顧客自身が操作して室内空間を体感することもできる。
 銀座サロンでは「ルジェンテ」シリーズと受託販売する新築物件の案内を行う。「ルジェンテ」は今後モデルルームなどは設置しない。同サロンの活用により、モデルルームの用地選定や建設、維持、解体の費用など手間とコストがかからず、事業主の販売費用を抑えられる。50戸未満の規模となる「ルジェンテ」シリーズで5000万~6000万円のコスト削減ができるという。販売の準備期間も4カ月間ぐらいに短縮できる。同社では受託販売での活用に向け事業主への提案も進めており、関心は高いという。

不動産経済オンライン

 昨日の投稿において、新築戸建住宅の住宅展示場をなくす動きがある旨を書きました。

 新築マンションにおいても同様の動きが出てきました。モデルルームをなくすことにより販売費用を抑えることに主眼が置かれているようです。しかし、コロナ禍の長期化と世界情勢の変化により新築物件の建設件数が激減しそうな情勢であることも理由の一つではないかと思われます。

 ご承知の通り、コロナ禍が完全に終息したとは言えない状況の中でロシアとウクライナとの間で戦争が始まりました。東南アジアにおける住宅部材の生産が停滞し、さらに ロシアからの材木の輸出が止まったことから新築物件の工事期間が長期化しています。

 多くの建築会社において、新たな物件の建設を受注しない状況になり始めており、新築物件の建築件数が激減し、着工済みの物件においても工事期間が長期化することが避けられなくなっています。

 新築物件の事業主においては販売費用の削減が至上命題になっています。住宅展示場およびモデルルームの設置、および維持には多額の費用を要しますので削減対象になったものと思われます。

バーチャルシアターは斬新ですが...

 モデルルームをなくし、バーチャルシアターだけで物件を購入するかを決めて貰うという販売手法は斬新ですが、入居後に予期しない不具合を思い知る恐れがあります。

 例えばシステムキッチンやバスルームにいわゆる特注品(多いのはヨーロッパ製)を設置し、上水道および排水の配管を特注品に合わせて建築している物件があります。このような物件では後でキッチンやバスユニットなどを入れ替える際に国産のシステムキッチンやバスユニットを利用できないことがよくあります。多額の費用が発生したり部材の納期が異様に長期になる(場合により半年以上)ことが多いのでお勧めできないのですが、バーチャルシアターだけではこれらについてわからないと思われます。

 また、室内に貼られているクロスの色、日照状況についてもバーチャルシアターだけではわからないと思われます。

 あくまでも筆者の個人的見解ですが、バーチャルシアターは今後何年もかけて改善されていくものと考えます。様々な内容がバーチャルシアターに盛り込まれていくと思いますが、バーチャルシアターだけで物件を購入された方からのクレーム(入居後に不具合を知った等)が皆無に近くなるのは何年か先になると考えます。