国内における収益用不動産取引に急ブレーキ

幻冬舎 ザ・ゴールドラインのWEBサイト記事から引用します。

※掲載社の都合によりリンク先の元記事が削除され、リンクが切れることがあります。

不動産投資市場動向(2023年第1四半期)-不動産売買は急減速。国内市場外で高まるリスクに注視
ニッセイ基礎研究所 渡邊布味子
2023.8.17

1―国内全体の不動産取引の動向(2023年第1四半期)
MSCIリアル・キャピタル・アナリティクス(以下、売買データは同社の2023年5月25日の公表)によると、国内不動産市場の2023年第1四半期の不動産取引総額は約1兆600億円、前年同期比▲36.1%となった。

この取引総額は、世界金融危機のあった2008年以降で見れば、2009年第1四半期の8,389億円に次いで少ない。高値水準かつ順調な取引量を維持してきた不動産市場だが、ここにきて急減速している

過去5年程の都市別の取引額は、概算で東京が約5割、大阪が約1割、東京以外の関東が1~2割、その他が約2~3割を占めていた。

しかし、直近の動向を見ると、東京への投資割合は2022年第1四半期が66%、2023年第1四半期が67%と東京への投資割合が増加している。不動産の価格は市況後退局面では、競争力の高い物件・エリアほど価格が下落しにくい傾向があり、リスク回避的な動きが強まっていると見ることもできる。

~以下、略~

幻冬舎 ザ・ゴールドライン

 国内における不動産取引総額に急ブレーキがかかったとのことです。主な原因は、特に東京都区内にある収益用不動産に対する需要が激減したためであると考えられます。

 新型コロナウイルス感染症が蔓延し、特に飲食業及び物品販売業が大きなダメージを受けました。資金に余裕があるところは事業を一旦清算し、残った資金で収益用不動産を猛烈な勢いで買い上げました。

 また、収益用不動産の購入が相続税対策になるという情報が広く伝わったことも収益用不動産に対する需要を増大させました。

 東京都区内では収益用不動産の中でも1棟もののマンションおよびアパートに対する需要が激増し、いわゆるミニバブルが発生して価格が急騰しました。その結果、多くの物件において利回りが激減しました。現在、表面利回り3.5~4.5%程度にしかならない物件ばかりです。数年前であれば6~10%程度の物件が数多くありましたが、このような利回りの物件はほとんど存在しません。

 利回りが激減した結果、収益用不動産の買い替え需要が消滅しました。数年以上前に購入した物件を所有している場合、買い替えた途端に表面利回りが激減する状況に陥っています。このため、建物が著しく老朽化している等の場合を除き、買い替えをされる方はいなくなりました。

 「国内不動産市場の2023年第1四半期の不動産取引総額は約1兆600億円、前年同期比▲36.1%」とのことです。利回りの激減と共に収益用不動産に対する需要が喪失したことを正に示していると言えます。

 これから収益用不動産に投資をされる方は東京都区内や横浜市南部の物件を除いて物件を探すことを強くお勧めします。千葉県、埼玉県、中部・関西エリアには良好な利回りの収益用不動産が数多くあります。