収益用不動産、利回りが低くても購入して構わない物件

 ご承知の通り、東京およびその近郊では収益用不動産(賃貸アパートや賃貸マンション)を購入しても満足な利回りを得られない物件ばかりになっています。表面利回り3%台の物件がかなり出てきている状況です。

 うっかり購入すると、複数の空室が同時に生じた際に運営が破綻する原因になります。あまりに利回りが低いことから、利回りを改善する方法について相談を受けることがあります。

利回りを上げる方法

 利回りを上げる方法として考えられるのは運営経費の低減です。運営経費には管理を外部委託する際に支払う管理費、設備の修繕および更新費用、税金、大規模修繕費等があります。

 しかし、現在は資材価格が高騰化しています。急激な円安が起きたことから資材価格が値下がりする気配はありません。さらに2024年4月1日から働き方改革関連法が建設業や運送業に適用され、人件費の増大が見込まれます。

 管理費や修繕工事の値引きを要求しても、ほぼ確実に断られると思われます。それどころか値上げを要求され「値上げを認めてくれないなら他社に依頼して構いません。」と言われることも想定されます。このような状況なので、運営経費を削ることはとても困難です。

 次に考えられるのは家賃の値上げです。しかし、オーナー様はいつでも自由に家賃を値上げできるわけではありません。

 確かに借地借家法はオーナー様による家賃の値上げを認めています。しかし、理由なく不用意に家賃の大幅値上げを通告すると家賃を法務局に供託され、場合により訴訟を提起される恐れがあります。例えば「会社勤めの入居者が昇格したから家賃の大幅値上げを求める。」などは悪手です。

 値上げできるのは、賃借人が家賃相場よりかなり安い家賃で入居している場合と考えるべきです。また、通告するのは契約更新時近くにすることをお勧めします。そのようにしないと賃借人が自主的に退去し、空室期間が発生することになりかねません。

 家賃の値上げを具体的に提案し、成功させる方法はケースバイケースです。さらに企業秘密に属する機微な内容があるため、このブログには掲載しません。

利回りが低くても、購入して構わない物件は存在するか

 交通の便が良好であり、人気のエリアにある収益用不動産は利回りが低いです。しかし、相場より低廉な家賃で入居している賃借人が多い物件であれば、家賃の値上げにより利回りの向上が可能です。値上げ幅が1~2割程度であっても、利回りはかなり改善されます。

 このような物件であれば、利回りが低めでも購入して構わない物件になるかと思います。レントロールをよく確認し、家賃の値上げが可能かを慎重に見極めることが重要です。