経営コンサルタントに不動産相談をして大丈夫か

サブスクリプション契約のお誘い

 最近、経営コンサルティングを行っている企業から「お客様から不動産相談を受けています。このお客様に対し、御社を紹介してよろしいでしょうか。」との問い合わせが数多くあります。現在、筆者は約10社のコンサルティング会社から問合せを受けています。

 ところが、多くは「紹介料として『年30~50万円』、または『月○○万円』のサブスクリプション契約の締結が必要」と言います。不動産相談の希望者を紹介するのでサブスクリプション契約を締結し、紹介料を貰いたいというわけです。不動産相談の紹介件数がゼロまたはそれに近い場合でもサブスクリプションであれば安定した収入になると考えているのでしょう。

 また、解決方法がほぼ存在しない相談でも「相談希望者を紹介したのだから紹介料をいただきます」と主張するつもりなのでしょう。筆者はある不動産相談会において相談員として不動産相談を受けた経験があります。相談の中にはどのように考えても容易に解決できないものが数多くあります。

 例えば「最寄り駅からバスで2時間、さらにバス停から徒歩45分の農地を相続したので売却したい。買主を早急に探してほしい。」、「再建築不可の土地上にある建物が火事で全焼した。建物を再建築したいが、土砂災害警戒区域内であることもあり行政が再建築を認めてくれない。」等の相談です。

経営コンサルティング会社に在籍する不動産の専門家は少ない

 大半の経営コンサルティング会社において、不動産の専門家(実務経験のある宅地建物取引士や不動産鑑定士)は在籍していません。経営コンサルティング会社のお客様から不動産に関する相談を受けた場合、「提携先」としてサブスクリプション契約を締結している不動産会社を紹介するのでしょう。

 このようなサブスクリプション契約を締結している不動産会社がどれだけあるのかはわかりません。しかし、大半の不動産会社はこのような契約を締結していないと思います。もちろん、大手および中堅の不動産会社は皆無でしょう。

 これはあくまでも筆者の予想であることをお断りしておきます。サブスクリプション契約を締結している不動産会社の大半は営業年数が浅く、実務経験に乏しいのではないかと思っています。

 経営コンサルティング会社に不動産相談を依頼する方の多くは「実績があり信用できる不動産会社に依頼したい。」と考えていると思います。しかし、上述したとおりであり、実績があり信用できる不動産会社を紹介してくれるとは限りません。

 不動産会社は賃貸仲介、売買、建築等の専門分野におけるいずれかを選択し、生業としています。しかし、経営コンサルティング会社の担当者が不動産に関する相談を受けても相談内容を理解できないことが多いです。

 このため専門外の分野を生業とする「提携先」の不動産会社を紹介する恐れがあります。例えば不動産売買や競売のトラブルに関する相談なのに、賃貸仲介の専門会社を紹介することが想定されます。このような紹介を受けても満足な回答は期待できないと思われます。

 不動産相談を経営コンサルティング会社に依頼しても時間の無駄になることが多いので、あまりお勧めしません。不動産会社のWEBサイトやブログをチェックし、専門分野を確認した上で不動産会社に問合せ、個別に相談することをお勧めします。