中古区分マンションを売却する際の注意点
前回の投稿では、所有者が自ら居住している中古区分マンションを売却する際にはリフォームを行うべきかについて書きました。本日は、売主が前もって知っていなければならない注意点について書きます。
1.管理費、修繕積立金、遅延損害金
通常は、引渡日を基準にして売主および買主の負担額を日割りで按分して決定します。所有者の預金口座から口座振替にて毎月支払われるのが通常です。問題は、決済日(引渡日)の後、約2週間以内に口座振替日が到来する場合です。口座振替を止められないことがあるので、最終の口座振替がいつ行われるかを確認しておく必要があります。
未納または滞納がある場合、その金額が買主様に交付される重要事項説明書に記載されます。滞納している場合は遅延損害金も発生します。遅延損害金の利率は消費者契約法が定める最大の利率である年14.6%に定められていることが多いです。従って、滞納額が多い場合は遅延損害金の金額がかなり高くなります。
売主がこれらを決済日までに支払わない場合は、買主が売主に支払う金額(売買代金)から差し引きます。そして差し引いた金額を買主が管理組合(又は管理会社)に支払います。
対象は建物に関するものだけではありません。駐車場、その他の付帯設備に関わる管理費および修繕積立金も含まれます。
2.固定資産税、都市計画税
これらは1月1日に不動産を所有している方に課税されます。年(または年度)の途中で物件を売却する場合は、引渡日(決済日)に基づき金額を按分し、日割り計算で清算します。関東は1月1日、関西は4月1日を起算点とします。
東京都内の物件は6月にならないと新年度の税額が確定しません。このため、引渡日(決済日)が4月または5月の場合は前年度の税額を基準にして清算します。なお、6月に新たな年税額が確定しても再清算は行わないことを特約で定めることが多いです。
未納の固定資産税や都市計画税がある場合は、物件を買主に引き渡した後も依然として売主に支払義務があります。買主には支払義務はありません。また、物件価格から未納の税額を差し引き、買主が代理で支払うことも行われません。
3.管理組合への連絡
通常、管理費および修繕積立金は所有者の預金口座からの引き落としによる方法で支払われます。管理組合への連絡を忘れると、決済を終えて所有権が移転した後も引き落としが続くことがあります。
多くの場合、仲介を行う不動産会社でも確認します。しかし、担当者による連絡の失念、書類不備等により翌月以降も引き落とされる等があるので、売主によるチェックも必要です。
4.管理規約、管理細則
何が許され、何が許されないのかを細かく記載している重要な書類です。ペット飼育、楽器使用、事務所利用の可否、リフォームを行う際の届け出内容等が記載されています。
管理組合の理事長、役員の選任方法も記載されています。
その他にリフォーム工事を行う際の制限(床材の指定等)が記載されていることがあります。買主が物件購入の可否を検討する際に必要となる書類です。
5.直近の管理組合総会資料および議事録
管理費、修繕積立金の変更が議案として上程されている場合は、買主に交付する重要事項説明書に記載しなければなりません。このため、重要な書類です。
管理費・修繕積立金の変更がない場合でも理事長・役員の氏名、大規模修繕を予定する時期等が記載されています。これらも買主か購入の可否を検討する際に必要な書類です。
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