家賃保証会社が家賃保証を行う賃貸物件で、家賃を滞納したらどうなるか

家賃保証会社が保証債務を引き受けている賃貸物件で賃料を支払わない方が増えた場合、家賃保証会社は直ちに経営危機に直面します。このため、家賃の滞納が発生した場合における家賃保証会社の対応は極めて迅速です。

家賃を滞納する賃借人に対し、家賃保証会社が行う対応
賃料の支払先が家賃保証会社の預金口座である場合、または口座振替にしている場合で、賃料の支払が行われなかった際には、家賃保証会社の担当者は直ちに督促の作業を開始します。

賃料の支払先がオーナーまたは管理会社の預金口座である場合は、オーナーまたは管理会社から家賃保証会社に家賃滞納の事実が報告されます。通常、報告期間には期限があり、2~4週間を期限にしているところが多いです。

賃借人に対する最初の督促は、電話にて行われることが多いようです。

以前は家賃保証会社による強引な家賃取り立てがマスコミに取り上げられ、社会問題になりました。取り立てに際しては貸金業法に準じた扱いをするのが妥当であるとの判例が出たため、東京都区内においては家賃保証会社による強引な家賃の取り立ては、以前より少なくなっています。

玄関扉に貼り紙をする、不在の間に鍵を交換して閉め出す、家財を搬出して廃棄する等の行為は自力救済行為であることから違法行為であるとされています。違反した場合には刑事罰および行政罰が科され、場合により損害賠償をしなければなりません。東京都区内の場合、ここに記載した強引な取立行為が行われることは稀です。
(某県の不動産会社社長によると、強引な取立や家財を搬出して廃棄するのは日常茶飯事とのことです。)

家賃保証会社が家賃の滞納を放置することは絶対にありません。半月程度の支払遅れでも、内容証明郵便により賃貸借契約の解約予告を送ります。併せて、オーナーは家賃保証会社より賃料の代位弁済を受けることが出来ます。

賃借人が内容証明郵便の記載内容を無視し、家賃を支払わずに放置していると訪問による督促に移行します。滞納が3か月に達した場合、オーナーが賃貸借契約を解約した旨の内容証明郵便が届き、滞納賃料および遅延利息の支払と退去を求められます。

滞納賃料の支払に応じず、さらに退去に応じない場合には裁判が提起されるのが通常です。裁判が提起された場合、賃借人が出廷しないとオーナー側が勝訴判決を得ます。賃料については遅延利息を含めて請求されますし、明け渡しに応じないと裁判所の執行官による強制執行が断行され、追い出されてしまいます。

滞納賃料が支払われない場合、給料や預貯金への差押えが行われることがあります。滞納賃料をどうしても支払えない事情がある場合は、家賃保証会社と相談されることをお勧めします。

家賃保証会社は家賃滞納者に関する情報をデータベースで管理しています
家賃保証会社は、(一社)全国賃貸保証業協会(LICC)、(公社)家賃債務保証事業者協議会(JPM)、(一社)賃貸保証機構(LGO)のいずれかに加入していることが多いです。これらの団体は、賃料の滞納などに関するデータをデータベースに保存しており、滞納者に関する個人情報を管理しています。また、信販会社系の家賃保証会社は、独自に同様のデータベースを構築しています。

これらの団体間でデータを共有しているかについては公表されていません。共有していないとする見方がありますが、私の会社における審査事例の中には、団体間でデータが共有されているとしか思えない事例があります。

電話による督促の直後に家賃を支払った場合はデータベースに登録されずに済むようですが、家賃保証会社がオーナーに代位弁済してしまうと、その事実はデータベースに確実に登録されます。

私の会社におけるお客様ですが、家賃を2週間遅れで支払う行為を2回行った方がいらっしゃいます。家賃の支払が2週間遅れた場合、家賃保証会社よりオーナーに代位弁済が行われるのが通常です。新たな賃貸借契約を締結するために家賃保証会社による保証引き受け審査を行ったのですが、結果は否認でした。

家賃保証会社は否認の理由を開示しませんが、家賃を2週間遅れで支払う行為を2回行った事実がデータベースに記録されていたからであることは明らかです。

誰でも転勤、転職、建物の老朽化や火災、土地区画整理事業等のやむを得ない事情で転居しなければならないことがあります。過去の家賃滞納が原因で転居先が見つからない状況に陥ると大変です。限りある収入の中から支出の優先順位を付ける場合、家賃の支払は最優先にするべきと言えます。