買ってはいけない収益物件(その1、土地の性質に問題がある物件)

本日から何回かに分けて、「買ってはいけない収益物件」について書きます。取り上げるのは、「なるべく手を出すべきではない物件」ではありません。駅近、交通至便、高利回りでも購入するべきではないものを列挙します。

1.土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域にある物件
駅近や幹線道路沿いでもこのような区域があり、賃貸用物件が建っていることがあります。

これらの区域内に建てた賃貸用物件に賃借人を居住させ、災害が発生して賃借人が死傷した場合はオーナーが責任を問われることがあります。収益用不動産を失った上に、賃借人または遺族から損害賠償を求められることにつながりますので、購入するべきではありません。

最近、これらの区域内にある収益物件への融資を認めない金融機関が増えています。融資を利用する場合、融資の適用が却下されることからこのような物件を購入することはあまりないと思いますが、現金一括による購入をされる場合は御注意ください。

2.市街化調整区域にある物件
建築物の建設を抑制する区域であり、開発許可の要件を満たさなければ建物の建設は認められません。
一定の面積以下の自己居住用居宅は、条例により建設が許可されることがあります。しかし、賃貸住宅の建設はほとんどの場合に不許可であり、既にある賃貸住宅の再建築はほとんど認められません。

再建築は、条例により一定の条件を満たす場合に限り許可されることがあります。しかし、既存宅地制度が廃止されたことから、許可を得ることは難しくなっています。

市街化調整区域内の収益物件は安くで売られていることがありますが、特定行政庁(市区町村役場)や消防署などに発覚すると取り壊しの勧告を受ける等、後始末が大変です。

3.道路幅4m以上の道路に2m以上接していない土地、または路地状敷地の旗竿部位における最も狭い箇所の幅が2mに満たない土地に建つ物件
都市計画区域内の土地である場合に問題になります。道路とは建築基準法が定める道路のことです。
2項道路(建築基準法による制限前から存在した道路)の場合は、道路幅4m未満であっても道路と見做します。

特定行政庁の建築審査会による個別審査により、例外的に建築が認められることがありますが、基本的にこれらの土地は再建築不可です。再建築不可の収益用不動産はかなり安価かつ利回りが良好な物件が多いのですが、万が一火災などで消失した場合には再建築が認められませんので、資産の価値は限りなくゼロになります。

「柱を1本だけ残しておけば再建築できる」と思われる方がいらっしゃいますが、過去の話です。現在は、そのようなことはありません。

4.道路から土地に行くためには他人の土地を経由しなければならない土地に建つ物件
これも都市計画区域内の土地である場合に問題となります。

敷地の周囲が全て他人が所有する土地に囲まれている場合、道路からその敷地に行くためには他人の土地を通らなければ到達できません。このような土地を囲繞地(いにょうち)と言います。

路地状敷地(いわゆる旗竿地)において、竿の部分の所有者と、敷地の所有者とが異なる土地の場合も、このケースに該当します。

囲繞地の所有者には囲繞地通行権という他人の土地を通行できる権利が与えられていますが、道路に接していないことから建物の建築は禁止されていますし、再建築も認められません。なお、条例により再建築が認められる場合があります。該当するかについては特定行政庁(市区町村役場)に問合せされることをお勧めします。

※明日の投稿に続きます。