非公開物件について(その2、収益物件の場合)
※おことわり
本日の投稿は、いわゆる収益物件(1棟マンション、アパート、収益用区分マンション)の非公開物件に関する内容となります。実需用物件(自分が居住するための住宅や事務所)については前日の投稿(その1)をご覧ください。
今日は、ややきわどい話を書きます。
実需用不動産の場合と大きく異なり、収益用不動産には非公開物件が多くあります。
何故かというと、収益物件を求める資産家の大半は内緒での購入を希望されているからです。大半の方は賃料収入を求めるだけではなく、状況により将来は売却したいと考えています。公開物件の場合は、その販売価格がデータとしてどこかに残ります。将来において売却する際にこの価格データを持ち出されて価格交渉をされると、売主は不利になる可能性が高いです。このため、非公開物件しか検討しないという資本家は多くいます。
収益用不動産には法人所有の物件が数多くあることも理由の一つです。売却物件として一般に公開されると、その物件を所有する売主である法人の経営状態が良くないのではないかという疑念を持たれかねません。単なる買い替え目的で売却する場合でも「経営状態が良くないから売却する。」との疑念を抱かせることがあり、信用問題になることがあります。
公開物件の場合、自分が居住中の物件が販売されていることに気付く居住者が現れる場合があります。居住者の何人かは、オーナーが変わることにより追い出される、または賃料が値上がりするかもしれないという不安を抱くかもしれません。そうなると、居住者はオーナーや管理会社に問い合わせをするでしょう。多くの部屋がある物件の場合、オーナーや管理会社はその対応に追われることになります。
不安が原因で、退去する方が現れることがあります。収益用マンションの場合、満室でないと購入対象としないとする資本家は多いですし、融資を受ける金融機関の心証を害する原因になります。
居住者にレントロール(各部屋における賃貸借条件の一覧表)を入手されてしまうと、各部屋の賃料が判明します。物件情報がレインズに公開された場合、不動産会社に勤務する者が居住していると、この者が「購入希望の客がいる」と偽り、レントロールを入手するかもしれません。平均よりも高額な賃料を設定されている部屋の住人は、賃料の値下げをオーナーに迫ることが容易に想定されます。
以上の理由により、収益物件の売主および不動産会社はレインズに載せたくないですし、一般公開も避けたいと考えています。
このため、各不動産会社における営業担当の人的コネクションを最大限に利用して販売活動を行います。電話、FAX、メールを利用した活発な情報提供が行なわれています。
販売活動をかなり行っても売れない場合に、初めてレインズやポータルサイトを利用した販売活動が行われます。ポータルサイトを利用する場合は楽待、健美家などの投資家向けポータルサイトを利用します。
専属専任媒介の場合は売却を依頼されてから5日、専任媒介の場合は7日以内にレインズに登録しなければなりませんが、実際には期限をかなり過ぎてからレインズ掲載することが多いようです。厳密には法令違反ですが、売主はレインズへの掲載を希望しないので、仕方ない一面があります。レインズへの登録義務は主に売主の利益のために定められたと考えられますが、収益物件の場合は売主がレインズ掲載を希望しないのです。
売主と不動産会社との間に絶対的な信頼関係がある場合はレインズ登録義務のない一般媒介にて引き受け、レインズ登録をせずに販売活動を行います。一般媒介であれば、レインズに登録しなくても法令違反に問われることはありません。ただし、一般媒介であると、売主は他の不動産会社にも販売活動を依頼してしまう恐れがあるので、絶対的な信頼関係の存在が前提です。
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