コロナ禍のために住宅ローンを返済できない場合について
新型コロナウイルスに関する報道が毎日のようになされています。
特に飲食業、宿泊施設、旅行会社において、雇用状況が厳しくなり始めています。勤め先が倒産した、または解雇されたという方が増えてきています。住宅ローンの返済をしなければならない方は、本当に困っています。
絶対にやってはいけないのは、住宅ローンを支払えないからといって延滞してしまうことです。
返済が1回でも滞ると、延滞の事実が個人信用情報機関に掲載され、その情報は5年間保存されます。自動車ローン、携帯電話の分割払い、新しいクレジットカードの作成にも影響します。
ここまでは、他のWEBサイトや不動産に関する解説本に書かれていますので、ご存じの方が多いと思います。しかし、本当に恐ろしいのはここからです。
今年の4月から改正民法が施行され、賃貸借契約を締結する際に求められる連帯保証人に対し、連帯保証の極度額を伝えることが義務化されました。通常、極度額は2年分の賃料・共益費です。連帯保証人にはその金額まで補償してもらう場合があり得ることを伝えなければいけなくなりました。
家賃7万円、共益費5千円の賃貸住宅の場合、2年分の合計額は180万円になります。この180万円を上限とした金額を支払ってもらう可能性があることを伝えることが義務化されました。しかし、多くの方は金額を示されると、連帯保証人になることに躊躇されます。
連帯保証人になることを引き受けてくれる方がいない場合は賃貸保証会社に保証してもらうことになります。賃貸保証会社が保証を請け負うのであれば、連帯保証人を設定する必要が無くなります。延滞が1回でも発生すると賃貸保証会社の審査を通過できなくなり、賃貸住宅を借りられず、移転先が見つからない事態になりかねません。住宅ローンを延滞すると、賃貸住宅への入居が難しくなると言えます。
最悪の場合、路上生活者になってしまう危険があります。
延滞してしまうと、その日から高額の遅延損害金が発生します。利率は金銭消費貸借契約書に記載されていますが、遅延した場合の利率は年10%以上を定めているところがほとんどです。借り入れている金額が多いので、すぐに数十万、数百万円の利息を余計に支払わなければならなくなります。
延滞をすると、以後の返済については金利の優遇がなくなることがあります。変動型の住宅ローンにおける金利は0.4~0.6%程度のことが多いです。これは優遇金利です。しかし、延滞した場合に金融機関が借り換えを承諾したとしても、利率を基準金利である2.475%に設定することを条件にしてくることがあります。こうなると、毎月の返済金額は巨額になります。
絶対に行ってはいけないのはクレジットカードを複数作成して現金を引き出す、消費者ローンから借りる等をして返済に充てる行為です。個人信用情報機関に掲載されるため、金融機関の心証を害し、結果として期限の利益喪失、一括返済の請求、不動産の差し押さえと競売の申し立て、競売後の残債の金額により破産宣告といった最悪の事態を招きます。
延滞が生じてから慌てるのでは遅いです。延滞しそうになった時点で金融期間に相談し、対応策を考える必要があります。住宅ローンの返済期間変更、一時的な返済猶予(通常は利息のみの負担にする)、ボーナス時返済の利用見直しの検討をお願いするのが最善です。金融庁も、住宅ローンの条件変更等には柔軟な対応をするように金融機関に求めています。新たな条件で借り直すことも考えられます。
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