賃貸マンションの家賃滞納者に対する管理会社の暴走に要注意(その2)
※本日の投稿は、昨日の投稿の続きです。
管理会社の担当者から「追い出し屋を使いたい」と言われた場合
家賃を滞納する賃借人の部屋から家財を搬出し、捨てることを生業とする輩がいます。賃借人が在室している場合は有形力の行使(暴力的手法)により、力ずくで室外に連れ出すこともします。いわゆる「追い出し屋」です。「多少手荒なことも出来るので、賃借人を追い出す際に利用して欲しい」として、不動産会社および管理会社に対する営業を行っています。
追い出し屋の多くは、暴力団やいわゆる半グレ等の反社会的勢力と繋がっています。
管理会社の担当者から「追い出し屋を使って良いですか。」とオーナー様に提案されることがあります。昨日の投稿に書いた、錠前を交換したことから裁判を提起できなくなった場合等に、管理会社から追い出し屋の利用を提案されたという話を聞きます。
追い出し屋は絶対に利用するべきではありません。提案された場合には担当者の上司に対し、そのような輩の出入りを会社として認めているのかを確認する必要があります。
追い出し屋との繋がりが、担当者における個人的な繋がりに留まるのか、管理会社全体としての繋がりなのかを明確にする必要があります。管理会社が会社として追い出し屋の出入りを黙認している場合は、そのような管理会社は反社会的勢力と密接な関係があると考えられるので、管理業務から外すことを強くお勧めします。
仮に追い出し屋を利用することをオーナーが黙認した場合、オーナーは共同不法行為者として損害賠償責任を負担しなければならなくなることがあります。
ましてや賃借人が負傷する事態が生じた場合には、オーナーは重大な責任を負わなければいけなくなります。
室内の家財を搬出し、廃棄することを提案された場合
賃借人が不在の際に室内の家財を搬出し、廃棄することを提案されることがあります。実行するのが追い出し屋でも、この行為は犯罪です。
追い出し屋による行為をオーナーが命じた、または黙認した場合には、オーナーが訴えられることがあります。
オーナーが提案を受け入れ、追い出し屋による追い出しを実行したことから賃借人が裁判を提起し、オーナーが損害賠償を命じられた判例があります。
また、賃借人が不在の間に家財を捨ててしまうと、オーナーや管理会社が多額の損害賠償を命じられることがあります。親の形見を捨てたという事案で、300万円の損害賠償を命じた判例があります。
一部の地方都市では、不動産会社や管理会社が室内の家財を搬出し、廃棄しても警察は黙認するようです。ある地方都市の不動産会社社長から「このくらいのことをやれなければ、この地域では一人前の不動産屋とは認められない。警察は黙認している。」と言われたことがあります。
しかし、東京都区内でこのような行為を行い、賃借人から訴えを提起されると立件されて処罰されます。管理会社が不動産会社である場合は、宅地建物取引業免許の免許権者より事務停止処分に処せられることがあります。
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