売却の意思がない査定、第三者の不動産に対する査定には応じかねます

2021年6月25日

東京都では20日で緊急事態宣言が解除されたものの、今日(21日)以降はまん延防止等重点措置が継続されるとのことです。

本日も短い記事になりますが、あらかじめ御了承願います。

不動産の売却をする意思が全くないのに、査定を依頼したいとの問合せがよくあります。不動産の所有者からの依頼ではないことも多いです。

何らかの事件が発生して報道されると、新聞や週刊誌の記者からの電話がよくあります。「事件発生現場となった住宅の価格を教えて欲しい」という内容です。

また、いわゆるヤミ金融等の関係者から「○○マンション××号室の査定価格を教えてください。貸金を回収できないので売却してもらうのですが、貸金を全額回収できるかを知りたい」という内容が多いです。

昨日および一昨日の投稿に書いた通り、不動産の価格査定結果は電話一本で回答できるものではありません。実地に赴いて調査し、相応のデータ提供料を支払った上で過去の売却事例を調べ、個別の状況を加味しながら査定を行います。

そもそも不動産会社が提示する査定は当該不動産の売却を前提としており、所有者に売却する意思がある場合でなければ査定は認めらないと解されます。

第三者が所有する不動産に対する価格査定(鑑定評価)を行い、その結果を別の第三者に教える行為は「不動産の鑑定評価に関する法律」の第36条第1項に抵触する恐れがあります。違反者には6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、もしくはその併科に処せられることが規定されています。

実際に不動産会社が立件されて処罰された事案があるかは不明ですが、法に抵触する恐れがある行為であり、道義的に許されないと考えられます。

不動産の価格査定を依頼されても、不動産の売却を検討されていない場合は査定の依頼には応じかねます。