東京都23区内における土砂災害警戒区域等に要注意
私の会社は東京都目黒区にあります。東京都23区内に自宅を購入したいので土地や戸建住宅を探したいという方からの相談をよく受けます。
都心でも空家が増えており、空家増加に関する報道が増えています。このため、販売されている中古戸建住宅は、それなりの数があります。
しかし、お勧めできる物件ばかりではありません。都心でも土砂災害特別警戒区域または土砂災害警戒区域に指定されているエリアがあります。
このような場所では台風や大雨の際に隣地から土砂が流入する(土石流の流入)、または自宅の敷地が崩落(急傾斜地の崩壊、地すべり)する危険があります。
東京都では土砂災害警戒区域等マップを公開しています。リンクはこちらです。
都心における人気エリアはJR山手線の内側です。人気がある理由は、多くの場所において地下鉄路線が縦横無尽に敷設されていることから交通の便がとても良いことと、商業施設や娯楽施設が充実していることが挙げられます。
特に人気が高いのは港区です。しかし、上記の土砂災害警戒区域等マップを参照すると、土砂災害警戒区域等に指定されているエリアは他の区よりもかなり多く、しかも点在していることがわかります。
他の区でも、特に川の近くでは土砂災害警戒区域に指定されているところが多くあります。
これらのエリアの多くは、いわゆる「崖地」です。ここに建物を建設する際には傾斜地に盛土、または切り土を行うことにより、建物を建てる土地を平坦に造成する必要があります。
土砂災害警戒区域における問題
問題なのは、傾斜地に建物を建てる際には崖に擁壁を設ける必要があることです。
(土砂災害警戒区域に指定されていることを理由として建築禁止にしているエリアがありますが、これは例外として考えます。)
傾斜地にある中古戸建住宅の場合、擁壁が脆弱であることがよくあります。大谷石やコンクリートブロックで表層を覆っただけの擁壁が現在でも散見されます。
傾斜地を平坦にして建てられた中古戸建住宅で、敷地の擁壁がこのような脆弱な状態の場合、建物を取り壊して再建築する際には擁壁をしっかりした構造のものに造り替える必要があります。
その際には敷地を新たに造成することについての建築確認申請および完成検査を受ける必要があります。この手続きを経ないと、建物の建築は許可されません(建築確認申請ができません)。
崖の部分を鉄筋コンクリートおよびコンクリートブロックで固め、敷地内に浸透した水が排出されるように水抜きを設けます。この工事費は莫大になることがあります。擁壁の大きさによりますが、高低差が数メートル以上の場合では数千万円~1億円以上になることがあります。
付近の相場と比較してかなり安く売られている都心の中古戸建住宅の中には、再建築の際には擁壁工事をしなければならず、その費用が極めて高額である物件があります。
購入を検討する際には再建築の際に必要になる擁壁工事の費用がどのくらいなのかをあらかじめ見積もっておく必要があります。あまりにも高額な場合は、他の物件を選択するべきです。
崖地に建つ戸建住宅の場合、再建築をしたくでも擁壁を造り直す費用が莫大であることから再建築が出来ないことがあります。朽廃した戸建住宅が空家のまま放置されている理由は、擁壁の工事費を捻出できないからであることがよくあります。
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