コロナ禍の中で、収益用不動産の購入を検討されている方へ(その6)

※9月18日に投稿した内容の続きです。明日からは、別の内容を書きます。

地方都市のショッピングセンター、ソシアルビルが安く売られている
 地方都市に多いのですが、国道や主要な都道府県道沿いに建てられているショッピングセンター、およびソシアルビルの中にはコロナ禍になる以前には考えられなかった破格の安さで売りに出されている物件があります。

ソシアル(ビル)とは、飲食店、カラオケ店、物販店、その他の複数の商業テナントが一つのビルに入居している建物のことです。

 このようなショッピングセンターおよびソシアルビルは、地主、地元の中堅企業、個人投資家等が所有していることが多いです。

 安く売られている理由の一つは、コロナ禍のために飲食店の多くが開店休業または閉店に追い込まれているからです。主に飲食店テナントの廃業や倒産処理に疲れ果てたことから購入希望者を募集しています。

 後述しますが、築25~30年程度を経過した物件ではその他にも安く売り出されている理由があります。 

多くは非公開
 売却希望の話が一般に公開されることはありません。公開すると良くない噂が立ち、ショッピングセンター、ソシアルビルの利用者が減るからです。このため、ほとんどの売主は非公開における売却を希望します。

 さらに、不動産業に携わらない一般の投資家がうっかり購入してしまうとたちまち大赤字の状況に陥り、破綻するリスクが極めて大きいことも非公開とされる理由として挙げられます。テナントが廃業または倒産すると後始末にかなりの費用を要することがよくあり、これが原因で破綻する投資家が多くいます。

 ショッピングセンターおよびソシアルビルの運営は、いわゆる住宅だけで構成される賃貸マンション(レジデンス)の経営しか経験がない投資家の方にはお勧めできません。良心的な不動産会社は、他に複数の商業ビルを所有して運用している方のみに紹介しています。

風俗店が入居している場合
 入居している風俗店と反社会的勢力との関わりの有無を調査する必要があります。あくまでも経験上の話ですが、他の業種と比較すると、風俗店はいわゆる反社会的勢力のシノギである割合が高いと思います。

 風俗店に限りませんが、入居しているテナントと反社会的勢力との関係の有無を売主に尋ねると、口ごもる物件があります。このような物件は要注意です。反社会的勢力との関わりが疑われるテナントが入居している物件は、購入を控えることをお勧めします。

 その理由の一つですが、反社会的勢力の関係者がテナントとして入居していると、他のテナントに対し、高額なみかじめ料を要求することがあるからです。このようなことが起きると、他のテナントが早期に退去する原因になります。

築25年以上経過した物件ではエレベーターおよびエスカレーターに注意
 大半のショッピングセンタービルおよびソシアルビルにはエレベーターおよびエスカレーターがあります。概ね25~30年程度が経過すると機器の全面的な更新が必要になります。補修部品の在庫がなくなり、維持修理が困難になるからです。

 問題なのは、エレベーターおよびエスカレーターの更新費用です。エレベーター1基およびエスカレーターを備えた建物において、エレベーターおよびエスカレーターの更新を行う際には総額で数千万円以上を要します。更新の内容により、1億円を超えることもあります。

 売主においてこの費用を捻出できないことを理由として、現状有姿による引渡しを条件として安く売られていることがあります。

 理由が何であれ、エレベーターおよびエスカレーターの維持修理や更新を怠ることは許されません。利用者における生命および身体の安全に大きく関わるからです。

 このようなビルを購入する際にはエレベーターおよびエスカレーターの更新費用を見積もることが必須です。これを怠る方が意外に多いです。うっかり購入してしまうと大変な目に遭いますので要注意です。