収益用不動産を購入する際の注意点(その7、テナントビルの場合)
本日は、テナントが入居している収益用物件について書きます。
テナントビルの中でも、飲食店や店舗が入居している雑居ビルを「ソシアルビル」と言います。
駅前の一等地や駅近の大通り沿い等の集客力がある場所であれば、利回りはレジデンス(いわゆる居住用賃貸区分マンション)よりも遥かに大きくなります。
通常は、建ぺい率および容積率を最大限に設定している商業地域に広い敷地を確保し、数十億円以上、場合により百億円単位の資金を投入してビルを建設します。
レジデンスの場合は、賃料の入金確認や督促、退去時の立ち会いや入居者募集にかなりの労力を割かれますが、テナントビルの場合には、労力が少なくて済みます。
数億円程度のレジデンスを10棟購入して管理するより、数十億円を投入してテナントビル1棟を購入して運用した方が、利回りが大きい上に事務量が減るという利点があります。
しかし、テナントビルの運用には難しい点があります。
テナントビルの運用における問題点
通常、テナント1件における専有面積は大きいので、テナントが退去すると賃料収入が激減する。
テナントの1件あたりの専有面積は、レジデンスにおける住居の何十倍にもなることがあります。このため、テナント1件が退去しただけでも賃料収入が激減することがあります。
想定賃料の目安をつけにくい(特に新築)
比較する対象が少ないため、賃料の想定がとても難しいです。
金融機関による評価は低め(ソシアルビルの場合)
特にパチンコ店や風俗店が入居していると、金融機関による評価はかなり低くなることが多く、金融機関によっては、事業用ローンを組めない(融資に応じてもらえない)場合があります。
臭いや油煙の問題(ソシアルビルの場合)
飲食店が入居していると食べ物や香辛料の臭気が漂い、建物の外壁や内装、共有部が汚れやすいです。
清掃や修繕を頻繁に行う必要があります。
ネズミ、害虫の問題(ソシアルビルの場合)
残飯等の後始末を完全に行えないテナントが入居している場合、ネズミや害虫発生の原因になります。
無断転貸されやすい
賃貸借契約書に無断転貸禁止の条項を定めても、無断転貸が頻繁かつ突然行われることがあります。
無断転貸ではなくても、テナント運営会社の合併などによる業態変更が頻繁に行われます。
転貸人が行方不明になることがしばしばあり、賃料の滞納が発生した場合、賃料を請求できない等のトラブルが発生することがあります。
トラブル発生時には迅速な対応を求められる
停電、空調設備の故障、エレベーターやエスカレーターの故障は絶対に許されません。レジデンスの場合よりもメンテナンスおよび点検の頻度を多くする必要があります。
万が一、故障が発生した際は迅速な対応が求められますので、24時間対応可能である設備メンテナンス会社との提携が不可欠です。
電気、水道料金はオーナー負担になることが多い
全額をオーナー負担にする必要があるところが多いです。
まとめ
乗り越えなければならないハードルがかなり高いので、収益用不動産を初めて購入される方にはお勧めしません。
しかし、既に収益用不動産を運用されている詳しい方や不動産会社との共同事業として慎重にスタートすることが可能であれば、挑戦されても構わないのではないかと思います(挑戦される場合は自己責任でお願いします)。
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