土地を購入する際の重要事項説明における注意点

1.土地の権利
 契約前における土地の権利に注意する必要があります。重要事項説明の際に説明されると思いますが、登記事項証明書(登記簿謄本)を確認し、抵当権や根抵当権、地上権、地役権、その他後述する内容が設定されている場合は、その内容に注意が必要です。

 抵当権および根抵当権が抹消されていない場合、売買契約における決済完了により確実に抹消できるかについて確認しておく必要があります。

 地上権および地役権については内容を確認します。権利の設定状況により売買価格に反映させる必要があるので、売買価格の妥当性についても検討しておく必要があります。

 差押、参加差押、競売開始決定、処分禁止の仮処分、所有権移転仮登記、所有権移転請求権仮登記、条件付所有権移転仮登記が登記されている物件については要注意です。

 特に処分禁止の仮処分、所有権移転仮登記、所有権移転請求権仮登記、条件付所有権移転仮登記が登記されている不動産は、これらの内容が抹消された後でないと購入していはいけません。

 重要事項説明を受ける時点でこれらの内容が登記されている場合、完全に抹消される保証がないと言えますので、売買契約を延期することを強くお勧めします。これらの登記における恐ろしさについては、こちらのリンク先を参照願います。

2.土地の面積
 土地の売買を行う際は、登記簿に記載されている面積に従い売買価格を取り決め、引き渡し後に実測した面積と多少食い違いがあることが判明しても清算しないことを予め特約条項の中に定めることがあります。これを公簿売買といいます。

 東京都内では公簿面積が実測面積と大きく異ならないことが容易に推定される場合に、当事者の便宜を図るために慣習としてよく行われています。

3.土地の形と境界
 筆者が遭遇した事例ですが、重要事項説明の際に土地の地形および境界標の位置が実際と大きく異なることが判明したことから売買契約を延期してもらったことがあります。

 実際に見て確認した内容と、重要事項説明書に記載されている内容とが食い違う場合は契約の延期を要求し、調査してもらう必要があります。

4.軟弱地盤ではないか
 土地の下が沖積層等である場合、地盤が軟弱であることがあります。このような土地に高層の建物を建てる際には杭打ちが必要になります。

 以前に建物が建築され、これが収去された土地の場合、古い建物を建築する際に打ち込まれた杭が土地に残っていることがあります。このような場合、土地に残っている杭を避けた上で新しい建物のための杭を打つ必要があります。当然ですが、新しい建物の構造にある程度の制限が生じます。

 川の近くでは軟弱地盤であることが多いです。重要事項説明の際に、軟弱地盤であるか否かの説明が無い場合は必ず確認することをお勧めします。納得できる説明が無い場合は、契約の延期を要求して構わないと思います。

5.地盤改良が必要な土地ではないか
 傾斜地の場合、建物を建築するためには擁壁を設置するか、または鉄筋コンクリート造の構築物を傾斜地の下方に構築する必要がある場合があります。

 驚くなかれ、これらの地盤改良に必要な工事費はとてつもなく高額であり、戸建住宅1軒分の土地の場合でも2千万円~6千万円以上を要することがあります。

 重要事項説明の際に、このあたりの説明を省く不動産業者が散見されるようなので、傾斜地を購入する際には十分な注意が必要です。