賃貸中の収益用区分マンションを競売で購入する際の注意点(その2)

※昨日投稿した内容の続きです。

4.室内写真
 不動産会社の仲介により収益用区分マンションを購入する際には室内を内見できません。しかし、不動産競売では賃借人の許可無く裁判所の権限により物件調査が行われます。不在のために玄関扉が施錠されていても解錠し、内部を撮影します。

 いわゆるゴミ部屋であることがよくあり、大量のゴミが部屋の天井近くまで達していることから生活の場として利用されているとは思えない物件があります。ゴミを積み上げたのが賃借人であるとしても、このような物件ではゴミの廃棄に多額の費用が発生します。また、賃借人が行方不明であることがよくあり、明け渡しがスムーズに行えないことがあります。

 また、内部の扉や窓ガラスが割れている、バスルーム内の浴槽や洗面台が大きく破損している物件があります。水回りの破損には、多額の修理費が必要です。

 裁判所が発行する現況調査報告書に室内写真が全く掲載されていない物件がたまにあります。賃借人が裁判所執行官の入室に対し激しく抵抗したことから調査を断念した物件、外国製の防犯性能が極めて高い錠前に交換されており解錠技術者による玄関扉の解錠ができず、写真撮影ができなかった物件等が該当します。

 これらは、いわゆる反社会的勢力が事務所として利用している物件等の場合によくあります。不動産業界に携わらない一般の方は手出し無用の物件であると言えます。

5.入居者の属性
 裁判所が発行する現況調査報告書から読み取るのは難しいのですが、賃借人が家賃を滞納している可能性が高いと読み取れる物件がたまにあります。

 賃借人に家賃の値上げを要求したところ、翌月から家賃の支払をせず、話し合いにも応じない旨が記載されている物件がたまにあります。

 また、出稼ぎ目的でに来日した外国人の中には家財を置いたまま帰国し、家賃を滞納する事案が散見されます。出稼ぎ目的で来日した外国人の全てに該当するわけではありませんが、突然帰国することがよくあります。賃借人は日本語および英語のいずれも理解できない旨が記載されている場合は注意が必要です。

 入居者が学生の場合は、賃借人名義が入居者の親であることがよくあります。この場合は入居者の親に対し、賃貸人および家賃支払先の変更に関する連絡を行います。

 賃借人が生活保護の受給者である場合は、家賃は地方自治体(市区町村)が負担します。不動産競売の実行により賃貸人が変更した場合は役所と協議します。可能であれば、家賃の支払方法を「代理納付」に変更してもらうことをお勧めします。代理納付とは地方自治体から賃貸人に対し直接家賃を支払う納付方法のことを言います。