収益用にワンルーム・1Kの区分マンションを購入する際の注意点

 このブログでは過去に何回か書きましたが、コロナ禍が長期化したことから主に飲食店・物販店のオーナーが事業に見切りをつけ、収益用不動産の獲得に走っています。収益用不動産の需要が急増したことから価格が急上昇し、利回りが極端に低下しました。

 このため、収益用不動産を買い替えると、現在所有している物件の利回りよりもかなり低い利回りになることを受忍しなければならない状況に陥っています。

 その結果、都心では収益用不動産、特に1棟ものの賃貸アパートや賃貸マンションの買い替え需要が激減しています。

 1棟ものの収益用不動産における価格が大幅に値上がりしたことから、収益用ワンルーム・1Kの区分マンションを1部屋だけ購入する方が増えています。しかし、購入した途端に収支が大赤字になり、賃貸経営が破綻する事案が増えています。

 特に不動産業界に携わったことがない方におかれては、特段の注意が必要です。本日は、これらについて書きます。

収益用ワンルーム・1Kの区分マンションの落とし穴
1.事業用ローンの審査が厳しい
 特に収益用ワンルーム・1Kの区分マンションでは人の入れ替わりが激しいので、ファミリー向けマンションと比較すると空室期間が長くなりやすい傾向があります。

 1部屋のみを購入する場合、後述するように空室や家賃滞納の事案が発生した場合には直ちに経営破綻に繋がるので、事業用ローンの審査が厳しくなります。

 また、エリアによりますが、部屋の専有面積が小さいと融資に応じない金融機関があります。

2.空室または滞納が発生することにより経営破綻する事例がとても多い
 区分マンションの場合、管理費および修繕積立金が毎月発生します。事業用ローンを利用した場合は、元本および利息を毎月返済する必要があります。

 1部屋のみを購入して運用する場合、空室の発生または家賃の滞納が発生すると直ちに無収入に陥ります。無収入でも管理費および修繕積立金の支払、事業用ローンの返済は待ってくれません。

 特に家賃滞納の場合で入居者が居座る場合は、解決に半年~1年以上を要することがあります。その間における管理費、修繕積立金を支払い、さらに事業用ローンを返済できれば良いのですが、これを工面できるだけの貯蓄がないと経営破綻に追い込まれます。

 最悪の場合、所有するワンルーム・1Kの区分マンションを任意売却または不動産競売により売却しなければならなくなります。家賃滞納者が居座る物件の売却価格は低くなるので、所有する物件を取り上げられただけでは済まず、多額の借金が残ることが多いです。

3.事故物件になった場合のダメージが大きい
 入居者の室内自殺などが発生すると、いわゆる「事故物件」になります。すると、家賃をかなり減額しないと次の入居者が決まりません。

  減額した家賃だけでは管理費、修繕積立金の支払い、および事業用ローンの返済ができないことがよくあります。特に所有している物件が1部屋だけである場合は直ちに経営破綻に繋がります。

対策
 複数の部屋を購入することによりリスクの分散を図れます。それができない場合は、空室期間の長期化や家賃の滞納等が発生したことにより1年程度無収入の状態に陥った場合でも管理費、修繕積立金を支払い、さらに事業用ローンを返済できるだけの貯金をしておくことが望ましいです。

 家賃が滞納された状態で居座られる期間をなるべく短縮するためには、入居者に対し、賃貸保証会社(家賃保証会社)と保証契約を締結してもらうことを必須にする必要があります。

 保証契約の締結を賃貸保証会社(家賃保証会社)が認める場合に限り入居を認めることが「対策」になります。

 このため、入居者募集の際は不動産会社に依頼してください。 入居者と賃貸保証会社(家賃保証会社)との間に保証契約を締結するためには不動産会社を通して賃貸借契約を締結する必要があります。

 過去に家賃を滞納した、またはクレジットカード利用額の引き落としができなかった方については賃貸保証会社(家賃保証会社)が保証契約を締結しませんので、このような方の入居を防止できます。