ロシアのウクライナ侵攻による国内不動産への影響

※お断り
 本日の投稿内容はあくまでも「筆者による現状分析と想定」です。株式等への投資および不動産売買は自己責任です。損失が発生しても筆者および筆者の勤務先である有限会社大森不動産が責任を負うことは一切ありません。

 2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を開始しました。この記事を書いている4月の時点ではロシア軍によるウクライナ国民の虐殺が報道されており、多くの住宅を含む建物が破壊されている悲惨な映像がネットを通じて流れています。

 ロシア軍も甚大な被害を受けているようですが、壊れた戦車等の映像が流されているものの、ロシア軍兵士の亡骸などの映像はほとんど報道されていないようです。

 明確になってきたのはこの戦争が直ぐに停戦する可能性はほぼなくなったと思われることと、経済制裁によりロシアが戦費を捻出できなくなりつつあり、デフォルト(破産)が近づいていることです。

 また、ロシア国内には日本企業が多く進出していますが、工場、プラント設備、店舗などは接収される可能性が高くなっています。ロシア国内の空港に駐機していた日本の旅客機の離陸が禁止されており、接収されたのと同然の状態になっています。

ロシアに進出している企業、主に大企業は甚大な経済的被害が避けられない?

 日本企業、特に大手企業の多くはロシアに進出しています。今後問題となるのはこれらの企業における経営状態の悪化です。戦争の長期化によりロシアが戦費を捻出できなくなり、デフォルト(破産)することが避けられなくなるからです。

 ロシアの友好国が戦費を融通するのではないかと予想する内容の報道、記事などがあります。しかし、現状ではどの国も新型コロナウイルス感染症の流行により経済的に困窮しています。ロシアに戦費を融通するだけの経済的余裕がある国はほとんどないと思われます。

 デフォルトした場合、日本企業がロシアおよびロシア国内の企業に対して有する債権が紙くず同然になる恐れがあります。今年の3月決算においては、決算の結果にきな影響が反映されることは少ないと思われますが、6月の四半期決算以降に影響が現れる可能性が大です。

株価が下落し、不動産価格も下降か?

 現在、戦争は膠着状態に陥りつつあります。今後、化学兵器や核兵器(戦術核)が使用されるようなことがあれば日本企業の株価が大きく下落する恐れがあります。この場合、影響を受けるのはロシアに進出している企業だけではありません。

 その後にアメリカやNATOが参戦すれば株価は値上がりするかもしれませんが、参戦しない可能性があります。参戦しても値上がりするのは主に軍事産業に関連する企業の株価であり、大半の企業における株価は値下がりしたままになる恐れがあります。

 株価が下落すると、株を担保として金融機関から融資を受けて事業を展開している企業では、金融機関から追加担保を差し出すように求められることになります。追加担保を差し出せない場合は、既に融資した金銭の返済を求められます。企業としては手持ちの不動産を売却して返済することが予想されます。

 さらに、経営状態が悪化する企業が増えて賃金カット、解雇などが進むと思われます。収入が少なくなれば財布の紐が固くなるのは当然であり、不動産を購入する際における値引き要求は強くなると思われます。

 結果として不動産価格は値下がりすることになります。ただし、都心の山手線内にある土地等、希少価値が認められる土地の価格が大きく値下がりすることはないと考えています。