地面師等に騙されないためには(不動産の購入検討中の方へ、その1)

 昨日の投稿に書いた通り、地面師が暗躍しています。最近は不動産会社を騙そうとする輩が多いですが、1棟ものの収益用不動産(アパート、マンション)の購入希望者を騙し、多額の購入費用を騙し取ろうとする輩に注意が必要です。

 「このようにすれば絶対に騙されない」という万全な方策は存在しないのですが、以下に述べる事項に注意することにより被害を未然に防げる可能性が高くなります。

1.不動産会社を通さない取引には応じない

 親しくお付き合いしている投資家から「自分が所有する1棟マンションを安く売るので買って欲しい。ただし、仲介手数料を節約したいので不動産会社を通さずに取引したい。」と言われ、「価格が相場よりかなり安く、購入しても良い。」と考えたとします。どうしますか。

 不動産会社を通さない場合、何が起きても不思議ではありません。この「親しくお付き合いしている投資家」が地面師であることがあります。特に直接会ったことが一度もなく、ネット上における付き合いしかない場合は要注意です。

 「1棟もののマンションを保有する投資家」と言っていても、実際には詐欺行為を狙う地面師であり、多額の金銭を騙し取る相手を探す目的で投資家に近づいていることがあります。この場合、売却話は他人が所有する1棟マンションに関する架空の売却話であることが多いです。

 積水ハウスの事件は極めて特殊な物件を巡る事件です。地面師に騙された原因は、ターゲットになった物件が業者にとって「垂涎の的」とされていたことと、「他社に購入される前に何が何でも購入したい」という心理状態を突かれたことにあります。

 ある程度の経験がある不動産会社であれば地面師に遭遇した経験があります。売却話を持ち込んだ者が地面師ではないかについて必ずチェックしています。なお、チェックの方法は企業秘密なのでお教えできません。

 「不動産会社を通さないで取引したい」と言われたら、絶対に応じるべきではありません。

2.無免許ブローカーが持ち込んだ話を信用しない

 宅地建物取引業免許を有していない無免許ブローカーが存在します。発覚した場合は検挙されて処罰されますが、仲介手数料欲しさに無免許ブローカーを始める輩がいます。

 東京都区内の話になりますが、不動産会社の多くは無免許ブローカーの出入りを禁止しています。彼らに不動産の売却情報を伝える不動産会社が激減していることから無免許ブローカーが提示する情報の信頼度が低く、古い情報が多いからです。また、彼らの話を信用したために思わぬ犯罪に巻き込まれ、後で警察沙汰になった事案が伝わっているからです。

 無免許ブローカーは所詮アウトローです。場合により地面師になることがあります。架空の売却話を持ちこみ、「手付金だけでも騙し取ろう」とする輩がいますので、要注意です。

3.売主本人が現れない場合は要注意

 売却の申し出を「代理人」または「秘書」と称する者が行い、売主様本人が現れず、本人の委任状および印鑑証明の提出を拒む場合は要注意です。

 よくあるのは「本人の委任状および印鑑証明は契約の際に提示します。」等と言い、契約当日になっても提示しないパターンです。高い確率で地面師ですが、購入希望者が契約の締結を強く求めることがあり、取引の中止を不動産仲介会社から提案することが難しいことがあります。

 印鑑証明が提出された場合でも、偽造されたものでないかについては十分に注意する必要があります。

※次回の投稿に続きます。