賃料を変更する際は覚書または同意書の作成をお勧めします

 新型コロナウイルス感染症の流行により家賃の減額をされたオーナー様が多数いらっしゃることと思います。賃料を減額する際に覚書または合意書を作成していれば後で問題になることは少ないと思いますが、もし作成していない場合は、無用なトラブルを回避するために作成しておくことを強くお勧めします。

 「賃料の減額」といっても、いくつかの類型があります。主な類型は以下の三つです。

賃料減額のパターン

1.賃料を一定の期間について減額する。減額分は支払を免除し、後からの請求はしないが一定期間が経過した後は元の賃料に戻す。

2.一定期間について賃料を減額するが、一定期間が経過した後は元の賃料に戻す。減額した金額は、退去の際に敷金から差し引いて精算する。

3.一定期間について賃料を減額するが、減額期間の終了後は減額した金額を元の賃料に上乗せして支払う。

 賃料の減額をする際に覚書または合意書を作成した場合でも、賃料の減額期間が終わり次第、賃料の変更を再び行うことになります。

 覚書または合意書に、例えば「2022年4月以降は賃料を元の金額に戻す」等と「いつから元の賃料に戻すか」について明確に記載してある場合は、賃料の金額を元に戻すことについての合意書または覚書を作成する必要はありません。

 しかし、「2022年4月以降は賃料を元の金額に戻すが、感染症の流行状況により元の賃料に戻す時期については貸主および借主が協議できる。」等、賃料を元の金額に戻す時期を「協議により変えられる」と記載している場合は、賃料の減額期間が終了したことを賃借人に了解してもらう意味でも「賃料を元の金額に戻す」ことに関する合意書、または覚書を作成することを強くお勧めします。

 合意書または覚書を作成しないとトラブルに発展することがあります。賃料を元の金額に戻した後は、減額した賃料を元の賃料に上乗せして支払ってもらう場合は、合意書または覚書の作成を強くお勧めします。

 覚書または合意書に記載する内容は平易なので、オーナー様が自ら作成しても構いません。「賃料改定 覚書 ひな形」、または「賃料改定 合意書 ひな形」で検索すると、ひな形が多数ヒットします。

 自信がなければ、有料になることが多いですが不動産会社に作成を依頼しても構いません。