賃貸物件の入居希望者が決まらない場合(オーナー様向け、その1)
本日から4回に分け、賃貸物件の入居希望者がなかなか決まらない場合におけるチェックポイントについて書きます。
収益用不動産のオーナー様から「空室が出たので新たな入居希望者を募っているが、入居希望者がなかなか決まらない。どうしたらよいか。」という相談を受けることがあります。
これについては様々な原因があり、一概に言えません。立地や建物の古さ、他の賃貸物件との競合等の問題もあります。容易に解決できない内容がありますが、オーナー様の努力で改善できる箇所は多いです。オーナー様にチェックしていただきたいポイントについて説明します。
1.部屋の鍵を簡単に取り出せる場所に配置するか、不動産会社に預ける
入室方法として、郵便受け(鍵付き)に入れてある鍵を取り出してもらう等の「現地対応」にするか、専任媒介を依頼した不動産会社に預け、内見の際に立ち会ってもらうのが一般的です。ところが、たまに「内見の都度、自宅に取りに来て欲しい。」と言われるオーナー様がおられます。
お客様がいつお店に現れ、いつ内見を希望されるかは全くわかりません。図面を見た、またはインターネットで物件を見つけたお客様が突然来店され、今すぐの内見を希望されることがあります。内見の都度、オーナー様の自宅に行って鍵を取りに行かなければならないとなると、オーナー様が在宅していないときに内見希望の方が現れても内見を実施できません。
オーナー様不在のために内見を実施できない事態が生じるとお客様を不快にさせますし、会社の信用にも関わります。このような物件は、お客様に積極的に紹介することが困難です。
内見の際に、オーナー様の自宅に鍵を取りに行く必要がある物件は、入居者がなかなか決まりません。
2.賃料の査定結果に合わせた賃料設定を行う
異常に高額な賃料設定をしている物件がたまにあります。オーナー様の中には「賃料は、私が決めた金額にする。賃料の値下げ交渉は一切受けない。」と一方的に言われる方がいらっしゃいます。困ったことに、その金額が相場の3割以上高額であることがあります。
利回りを少しでも高くしたいために高額な賃料を設定したいというオーナー様のお気持ちは理解します。しかし、入居者が決まらず賃料収入を得られない状況が長期化すると、維持費が持ち出しになります。場合により、物件を維持できなくなることがあります。
賃貸物件を探されているお客様の多くは、地域の賃料相場をあらかじめ調べています。相場より大幅に高額な賃料を設定している物件に入居されるお客様はほとんどいません。
入居者の募集(客付け)を不動産会社に依頼する際は、適正賃料を査定してもらうことをお勧めします。
3.修理やハウスクリーニングを入居者にお願いするのは絶対にダメ
入居先を探している方はオーナー様にとってもお客様です。たまにあるのが、お部屋の中がものすごく汚なく、故障箇所があるのに修理していないというパターンです。
家財道具の運び出しは済ませているものの、ハウスクリーニングはもちろん、クロスの剥がれや窓ガラスのひびに関する修理を全くしていない物件に遭遇したことがあります。
オーナー様を説得しても、ハウスクリーニングや修理を承諾しないのです。オーナー様の中には「どんな状態の部屋であろうと借主を探すのが不動産屋の仕事だ。」と高圧的な態度に出る方がたまにいらっしゃいます。そして「修理やクリーニングは借主がやれば良い。」と言われます。
このようなオーナー様は、「お部屋は借主様に対する商品」であることや、「貸主の修繕義務」を理解されていないのでしょう。このような無茶ぶりを発揮されても、お客様の居住に不適切な状態の部屋を不動産会社が御紹介することは困難です。
結果として、いつまでも空室のまま放置されることになります。
※番外 3に関する最も酷い例(私の経験)
トイレの便座が割れており、便器から外れている状態で放置されていました。電気コンロおよびエアコンは使用不能でした。壁クロスはいたるところで剥がれています。前の居住者は、故障箇所が生じてもオーナー様が対応しないので退去したのでしょう。
当然ですが、内見したお客様から「トイレ、コンロ、エアコンのどれも壊れています。これでは借りられません。これほど酷い物件は見たことがありません。」と言われました。
修理やハウスクリーニングについてはこれから対応するのかと思い、オーナー様が専任媒介で客付けを依頼している不動産会社に確認すると「オーナー様は、ハウスクリーニングおよび修理については全て入居者の費用負担でお願いしたいと言っておられます。これらは契約後に行っていただきたいとのことです。」という信じられない回答がありました。
このような物件を専任媒介で預かる不動産会社もどうかしていると思いますが、オーナー様を説得しても、修理やハウスクリーニングを承諾しないのでしょう。
この物件のオーナー様は並外れたケチなのか、手持ちの資金が乏しいのでしょう。前者であれば、意識を変えていただくしかありません。「大家は店子より偉い。」という考えは、過去のものです。
問題なのは後者の場合です。この状況ではいつまで待っても入居者は現れません。いずれはこの収益用不動産を維持できなくなります。税金や建築・購入費のローン返済が滞れば任意売却か競売になり、最終的にはこの物件を安値で手放すことになります。
非情なようですが、経済的損失を少なくするため、物件の売却を早めに行うのが得策であることがあります。
※この続きは明日書きます。
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