再建築不可の土地に立地する賃貸物件を購入することの是非

 東京都区内でも建築基準法の定めにより、建物を取り壊すと再建築できない建物が存在します。多くは建築基準法が定める道路に接していない土地に立地する物件、道路から他人の土地を通らなければ行き着くことが出来ない土地に立地する物件、道路に接している土地の部分が2m未満である物件です。

 このような物件で特定行政庁における建築審査会により安全性が確認された場合は建築が許可されることがありますが、あくまでも例外です。

 再建築不可の土地上にある既存の建物を壊すと、その土地に建物を建築することはできません。隣家の火事により類焼した場合でも例外ではなく、救済されることはありません。

 再建築不可の土地、およびその上に立地する建物の物件価格は極めて安いです。賃貸物件として利用すれば高利回りを得られます。このため、購入希望者は多くいます。

 このような土地および土地上に立地する建物を購入したいと考えても、大半の金融機関は融資に応じません。大手の金融機関に融資を申し込んでも門前払いになりますし、街中の信用金庫や信用組合でも融資を断られることが大半です。

 その理由は担保価値が低い上に、何らかの理由により建物が消滅した場合には、土地の価値は無価値同然になるからです。

 ノンバンクであれば融資に応じてくれるところがあると思いますが、貸出利率は通常の事業用ローンと比較するとかなり高い利率になります。

 このため、再建築不可の土地および土地上の建物を購入し、賃貸物件として活用するためにはほとんどの場合に全額を現金一括で支払うことが必要になります。

 「建物を失った場合には土地を含めて無価値になる可能性がある」というリスクがあるために高利回りが約束されている物件ですが、実際に購入して問題がないかの判断は、将来的に建物が消滅するリスクがどれくらいかによります。

再建築不可とされている理由に注意

 再建築不可の土地上にある物件に対する引き合いは多いです。購入の可否は、再建築不可とされている理由によると考えられます。

 木造の建物が密集している下町における再建築不可の土地上にある建物は、火災が発生した際に焼失する恐れがあります。

 接道の長さが2m未満である土地上の建物から火災が発生した場合、居住者が脱出する際に逃げられない恐れがあるのでリスクが高いと言えます。

 また、土砂災害警戒区域に指定されていることから再建築不可に指定されている土地および土地上の建物も、リスクが高いと言えます。

 しかし、外観は道路に接しているものの土地の前面に幅が狭い川や水が流れる暗渠があり、これが水路であることから「道路に接道していない」と見做されて再建築不可とされている土地の場合は、川の上に渡し板などがあり人が居住する場合の安全性に問題がなければ、建築審査会の判断により再建築が認められる可能性が高いです。

 再建築不可の土地およびその土地上にある建物の購入を検討する際は再建築不可とされる理由に着目し、必要に応じ、特定行政庁(東京都区部の場合は区役所内)に確認することをお勧めします。