行き過ぎた円安は、収益用不動産価格をさらに上昇させる恐れがあります

 このブログの過去記事において繰り返し述べていますが、新型コロナウイルス感染症の流行がなかなか終息しません。飲食店または物販店に出資していた資本家は見切りを付け、事業から撤退しました。そして残った資金で1棟マンションや事業用ビル等の収益用不動産を猛烈な勢いで購入し始めました。

 その結果、東京都区内における物件の表面利回りは著しく低下し、表面利回り3~4.5%前後の物件ばかりになっています。利回りがこれ以上低くなると事業用ローンを利用した購入は出来なくなるばかりか、固定資産税や建物及び設備の維持費を支出することも出来ず、運営は必ず破綻します。このため、新型コロナウイルス感染症が終息すれば物件価格は少しずつ低下していくのではないかという見通しを立てていました。

 ところが、ここ2~3か月の間、特にここ数日の間に著しく円安になりました。昨日(令和4年9月7日)の円相場は1ドル約144.8円です。物件価格をドルに換算して考えると、急激に上昇してきた日本国内の収益用不動産価格は短期間に急激に下落したことになります。

 このような状況を外資系の投資会社が放置することは考えられません。今後、海外の投資会社が一斉に日本国内の収益用不動産を購入する可能性が出てきました。

 「利回りが低いのに何故購入するのか」と思われるかもしれませんが、ドル換算価格を基準にして考えると、円安の際に物件を購入し、将来において円高になれば大幅な転売益(キャピタルゲイン)を得られる可能性がでてきます。家賃収入が少ないことは大きな問題ではありません。

 海外の投資会社は最近の円安が一過性のものなのか、それとも更に円安が進行し1ドル160円、180円といった状況になるのかを監視していると思います。そして「円安が止まり、このあたりで円高に逆転する」という兆候が見られた時点で、海外の投資会社は日本国内の収益用不動産を一斉に買い上げることが予想されます。

 すると、日本国内における収益用不動産の価格は、表面利回りの低下により国内の資本家が収益用不動産の購入をためらっている間に更に値上がりすることが考えられます。

 円安がこれ以上進行すると、物価は上昇する一方です。円安を止めるためには金利を上げることが有効ですが、金利を上げると国債の償還に支障をきたすと言われます。また、円安にしておけば外国人観光客によるインバウンド需要を創出できる、外国人投資家が日本株を購入してくれる等の思惑があり、政府がなかなか動かないために円安が止まる気配がありません。

 政府にはそろそろ円安を止めることを考えてもらいたいと思います。外国人投資家を儲けさせても日本が儲からなければ意味がありません。何とかならないのでしょうか。

※投資判断は自己責任でお願いします。