収益用不動産を購入する際に、学区域にこだわる必要はありません

 自宅を購入する際に学区域を気にされる方が多くいらっしゃいます。週刊誌などに時々掲載される、有名大学への進学者数が多かった小学校を調べ、「この学区域限定で物件を探したい」と言われる方がいらっしゃいます。

 発想としては自宅を購入する際と同じなのでしょうが、1棟マンションや収益用区分マンション(ファミリー向け)を購入する際に学区域を気にする方がいらっしゃいます。具体的には「○○小学校の学区域に限定して収益用不動産を探したい」と言われる方がいらっしゃいます。

 しかし、あくまでも私見ですが、収益用不動産を購入する際に学区域を気にする必要はないと考えています。その理由は以下の通りです。

学区域を気にする必要がない理由

1.ファミリー向けの賃貸物件を探す方は結婚直後の夫婦が多いが、買い物や交通の便などの生活面における利便性を最優先にして物件を選ぶ方が多く、子どもの学区域を最優先にして物件を選ぶ方は少ない。

2.自宅を購入して住宅ローンを返済している方は、子どもの学区域を気にして新たに賃貸物件を借りたくなっても入居審査を通過できないことが多い。

 結婚直後の若夫婦がファミリー向けの賃貸物件を探す場合、最優先に考えるのは毎日の生活における利便性です。このため駅から近く、買い物に便利なエリアにある物件を選択しがちです。

 小学校のことを考え始めるのは子供が保育園や幼稚園に通い始めた頃になることが多いです。その頃になると夫婦は30歳を過ぎていることが多く、多くの方が住宅ローンを利用して自宅を購入します。子供の学区域を考える方は、その際に学区域内にある住宅を購入します。

 特定の学区域内にある物件に限定して賃貸住宅を探す方は、子供が幼稚園や保育園に通っている時点において自宅をまだ購入していない方か、学区域外に自宅を購入した方となります。

 ところが、後者の方が住宅ローンを利用して自宅を購入している場合、入居審査を通過出来ないことがほとんどです。有名大学への進学者が多い小学校の学区域にある物件は、大都市の中でも地価が高額なエリアにあることが多く、家賃がかなり高いからです。住宅ローンの返済をしている方の多くは家賃が高額な賃貸物件を借りるだけの資力がないと見做され、入居審査を通過出来ないのが実情です。

 すると、特定の学区域内にある物件に限定して賃貸住宅を探せる方は、「子供が保育園または幼稚園に通い始めた時点でも自宅を購入していない方」のみと言えます。 つまり「○○小学校の学区域内にある収益用不動産」を購入しても、賃借人の需要はそれ程多くありません。

 異論があるとは思いますが、収益用不動産の購入に際しては学区域にこだわる必要はないと考えています。