賃貸借契約におけるペット飼育禁止条項について

2020年10月30日

賃貸物件の入居者募集をオーナー様に依頼された場合、必ず確認するのはペット飼育の可否です。

ペット飼育に関する定めは個々の賃貸物件において大きく異なります。ペット飼育を認めない物件、小鳥や熱帯魚などの一部のペットは飼育可とし、その他は飼育不可にする物件、飼育頭数の上限を定める物件など様々です。

ペット飼育に制限がある場合は、賃貸借契約書にペット飼育禁止条項を記載します。ペット飼育禁止条項の記載が無い場合は、原則として当該物件内部におけるペット飼育は認められるものと解されます。

賃貸借契約書にペット飼育禁止条項の記載がない場合

原則としてペットの飼育が認められます。しかし、無制限に認められるかというと、そのようなことはありません。臭いや鳴き声、排泄物、その他により貸主および他の居住者に迷惑をかけており、その程度があまりにも酷い場合には、貸主は賃貸借契約を解除できます。

賃貸借契約書にペット飼育禁止条項が記載されている場合

ペット飼育禁止に関する特約は有効であり、借主は当該特約の内容に従わなければなりません。

実際には犬、猫、は虫類、猛獣の飼育を禁止する場合が多いです。中には犬や猫の最大サイズと飼育頭数の上限を定めている場合があります。

また、犬や猫の飼育は認めるものの、飼育している動物の建物共用部における歩行禁止を定めている場合があります。建物の外を散歩する際には、部屋から玄関まで犬や猫を抱きかかえて移動する必要があります。

ペット飼育禁止条項でペット飼育禁止が定められている場合、小鳥や熱帯魚でも飼育できないか

問題なのは、ペット飼育禁止条項に「全てのペット飼育禁止」が定められている場合、小鳥や熱帯魚のような他室の居住者に迷惑をかける恐れが少ないものであっても飼育が禁止され、違反した場合には賃貸借契約を解除されるかという点です。

この場合は、小鳥や熱帯魚を飼育することも禁止されると一応は解されます。しかし、このようなペットを飼育した場合に貸主や他室の居住者が不利益を被るかというと、そのようなことはまずありません。

そうであれば、建物内部で小鳥や熱帯魚を飼育したことをもって、貸主と借主との信頼関係が破壊されたということはできません。よって、貸主が賃貸借契約を解除することは認められないと考えられます。

ペット飼育禁止条項がある物件内で小鳥や熱帯魚以外の動物を飼育した場合

猫は建物の柱を傷つけることがあります。犬は、鳴き声が近隣の居住者の迷惑になります。排泄物の臭いが建物内に漂えば、苦情は貸主のところに届きます。

賃貸借契約書においてペット飼育禁止条項が定められているのに賃借人がそれを守らないことは、貸主および借主の間の信頼関係を借主が破壊する行為であると評価できます。

よって、貸主による賃貸借契約の解除が認められます。この場合、賃借人は直ちに退去する必要が生じます。くれぐれもご注意ください。