電子印鑑による不動産契約書のペーパーレス化が開始

 2022年5月18日に施行された改正宅地建物取引業法の施行により、Zoom等を利用したオンラインによる契約締結が可能になりました。

 この法改正により、予め重要事項説明書及び契約書、その他の書類を相手方に郵送しておき、オンラインで宅地建物取引士が相手の顔を見ながら重要事項を説明し、契約当事者が契約書に押印する方法による契約締結が可能になりました。

 しかし、売買契約の際に従来通り収入印紙を契約書に貼付しなければならず、この印紙の金額が高額であることからペーパーレス化して印紙の貼付を不要に出来ないかという要望がありました。例えば5,000万円以上1億円未満の住宅を売買する場合は6万円の印紙を売主および買主双方の売買契約書に貼付する必要があります。

 ペーパーレス化すれば印紙の貼付は不要になり、印紙税を納税する必要はありません。このため、契約書を完全に電子化してペーパーレス化することが求められていました。

 完全なペーパーレス化を図るためには電子印鑑が必要です。多くの会社が電子印鑑を提供し始めていますが、仕様および利用料がまちまちであり、どれを選択するべきか悩むことから利用しにくい状況でした。

 今般、不動産会社の半分強が加盟している(公社)全国宅地建物取引業協会連合会がGMOグローバルサイン社と提携し、クラウド型の電子印鑑を利用できるようになりました。

 以下PR TIMESの記事を引用します。

※掲載社の都合によりも元記事が削除され 、リンクが切れることがあります。

GMOグローバルサイン・HD:「電子印鑑GMOサイン」と不動産業界最大団体・全宅連の宅建協会会員業務支援サイト「ハトサポ」が連携
全宅連会員10万社向けに電子契約サービス『ハトサポサイン』を本格始動
GMOインターネットグループ
2022年11月1日 10時00分

 GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(代表取締役社長:青山 満 以下、GMOグローバルサイン・HD)と公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(会長:坂本 久 以下、全宅連)は、本日2022年11月1日(火)より、GMOグローバルサイン・HDが提供するクラウド型電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」と、全宅連が提供する宅建協会会員業務支援サイト「ハトサポ」が連携し、全宅連会員10万社向けに電子契約サービス『ハトサポサイン』を提供開始することをお知らせいたします。
 今後は、全宅連会員10万社による『ハトサポサイン』の利用拡大とともに、GMOグローバルサイン・HDと全宅連は全国の不動産DXをより強力に推進してまいります。

~以下、略~

PR TIMES

 記事は2022年11月1日付ですが、宅地建物取引業協会の会員に対する説明会およびマニュアル等の配布が2022年の年末に行われたことから、本格稼働は2023年1月頃からになります。不動産に関する契約書のペーパーレス化が進むことが大いに期待できます。

 なお、電子印鑑には有効期限があります。今後はこの点が問題になる可能性があります。ペーパーレス化された契約書はクラウドに保管されますが、電子印鑑に設定された期限を超過した際に有効な契約書として通用するかという点です。

 当然、そのままでは「有効」とは見做されないので、過去に締結された有効な契約書であることをどのようにして証明するかという問題があります。

 また、電子印鑑を利用する大前提として契約当事者の通信環境が整っているかが重要です。特にWi-Fiを利用している環境の場合、映像の乱れや音声の途絶などが発生しがちですが、この場合は直ちに契約を中断しなければならず、通信状態を改善できない場合は対面かつ紙ベースによる従来の契約方法に則らなければなりません。

 オンラインによる契約を行おうとしたところ、通信が乱れて契約できず、従来から行われている紙ベースの契約にするのでは困ります。