宅地建物取引業者以外による不動産転売は原則禁止

 宅地建物取引業の免許を所持していない個人の方から、「不動産を転売したいので転売向けに買い取れる不動産を紹介してほしい」という相談をいただくことがあります。

 しかし、利益を得る目的で不動産を買い取り、転売する行為を繰り返し行う場合は宅地建物取引業の免許が必要です。宅地建物取引業免許を取得することなく不動産の転売を繰り返す(「業」として行う)と宅地建物取引業法違反として処罰の対象になります。

 この場合は宅地建物取引業法第79条第1項第2号違反に問われます。罰則は極めて重く、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科され、併科されることがあります。なお、転売を何回繰り返したら法令違反なのかを定めた条文はありません。

いわゆる「モグリ営業」であり警察案件

 宅地建物取引業免許のない方が不動産の短期売買を繰り返すと、都道府県の不動産業課等にチェックされると言われています。

 無免許で短期売買を繰り返すことは、いわゆる「モグリ営業」なので警察案件になります。これについては以前に筆者が東京都の免許担当者に直接確認したことがあります。「都道府県による注意等の対象ではありません。犯罪なので警察に通報してください。」と言われたことがあります。

「転売でも不動産会社に仲介を依頼すれば合法」というのは誤り

 「不動産の転売を行う際に不動産会社を通して売買仲介を依頼すれば問題ない」とお考えの方がとても多いので驚かされます。数千万円程度の預金があるという方から「転売用の土地を現金一括で安く購入したい。その後は少し高い価格にして転売したい。」と言われることがあります。

 しかし、転売を行う主体は不動産仲介会社ではありません。売買仲介を依頼した方が転売の主体であり、宅地建物取引業法違反に問われることになります。

不動産の短期譲渡所得に対する税率はかなり高い

 短期譲渡(譲渡した年の1月1日現在における所有期間が5年以下)の場合は多額の税金が発生することを伝えると驚かれる方が多いです。

 所有権を取得してから5年未満で譲渡した場合、売却益に対し譲渡所得税、復興特別所得税、および住民税がかかります。合計の税率は41.1%にもなります。しかも、分離課税とされます。税率があまりにも高いことに驚かれる方が多いです。

 不動産の買い取りおよび転売を生業として行う場合は法人を立ち上げ、法人として宅地建物取引業免許を取得してから行うことを強くお勧めします。