不動産売買、不動産会社によるトラブルの発生原因
お客様から筆者の会社に電話がありました。たまたま筆者が受けたのですが「不動産を紹介してくれるところを探しています。お宅の会社における支店の数と従業員数を教えてください。支店が5店以下、または従業員100名以下であればお願いしません。大きい会社でないと安心できないので。」と言われました。
この方のように「数多くの支店があり、多くの従業員がいる大手の不動産会社でないと安心できない。」という方はとても多いようです。
筆者の会社では無料の不動産相談を受け付けています。「大手の不動産会社を通じて購入した不動産に問題が発生したので対応を求めたものの、何も対応してもらえない。どうしたらよいか。」とか「大手だから安心して依頼したのに、明らかに不当な高額請求をされて困っている。」、「大手の不動産会社に売却を依頼したが全く反響がないと言われた。担当者は『売れないので値下げしたい』を繰り返すばかり。どうしたら売れるか。」等の相談が多いです。
多くの相談者から「大手だと思って安心して利用したのに裏切られた。」と言われています。
しかし、トラブルを起こすのは大手の不動産会社とは限りません。不動産会社の規模はあまり関係なく、営業担当の知識不足、会社幹部および営業担当者の資質が良くないことが原因で発生するトラブルが多いと思います。
担当者が宅地建物取引士でないと知識不足かも
数多くの支店があり、どこの支店に行っても十人以上の人が忙しそうに働いている不動産会社があります。しかし、賃貸や管理を生業としている会社の場合、従業員全員が不動産売買に精通していることはまずありません。
また、従業員の全員が宅地建物取引士の資格を所持していることは、ほとんどありません。宅地建物取引業法は従業員5人につき1人以上の宅地建物取引士を置くことを義務づけています。従業員10名の場合、宅地建物取引士が2名いれば宅地建物取引業法を満たしていることになります。
このため、従業員数が多くても宅地建物取引士が少ない不動産会社が大半です。この会社を訪問して不動産売買を依頼した場合、無資格者が担当者になることがあります。
あくまでも筆者の個人的な所感ですが、無資格者は概して知識が足りない方が多いように思います。知識が不十分な無資格の担当者が誤った説明を行い、これが原因で不動産トラブルに巻き込まれるパターンが多いです。
これまでに筆者が受けた不動産相談の大半は、宅地建物取引士の資格がない営業担当者が引き起こしたトラブルに関するものです。
現在、多くの不動産会社において営業担当社員に宅地建物取引士の資格を取得するように啓蒙しています。このため、多くの不動産会社の社員が宅地建物取引士資格試験を受験します。
この試験は法令の知識に関する問題が多く、相応の勉強量が必要です。合格率は毎年15~17%前後であり、不合格になる方が多いです。また、試験は年に一回しかないので有資格者をなかなか増やせないようです。
資質が良くない担当者が生まれる原因は歩合制給与か
営業担当者が無資格者でも、宅地建物取引士が営業担当者の行動をチェックする体制が取れている不動産会社では、深刻なトラブルの発生は少ないです。
しかし、歩合制給与制度を採用している会社では担当者同士が競わされているため、チェック機能が有効に働きません。営業担当者においてわからないことがあり、同僚に尋ねたくても同僚はライバルなので満足に教えてもらえません。このため、誤った知識に基づく説明が行われ、トラブルに巻き込まれることがあります。
それに「最初に応対した者が最後まで担当者」というルールを採用している会社が多いです。このような会社の利用者が「担当者は知識不足のようで不安だ。」と感じ、担当者の変更をお願いしても断られることが通常です。
「最初に応対した者が最後まで担当者」というルールは、歩合制を全社員に公平に適用するために行われているルールです。しかし、お客様には関係ない話です。
歩合制にこだわる不動産会社幹部の資質が、トラブルが発生する原因の一つではないかと考えています。
トラブルが発生すると、担当者の配置転換を行う
困ったことに、トラブルが発生すると担当者を他の支店に異動させる不動産会社があります。利用者がトラブルの解決を求めても「担当者が異動したのでわかりません。対応しかねます。」と回答されることがあります。
このような不動産会社の幹部は「トラブルの発生は織り込み済み。バレたら担当者を異動させれば良い。それでも問題が解決しない場合は解雇すれば良い。」と最初から考えています。そして担当者も「何かトラブルを発生させても売上げが第一なので、多少の違法行為は大目に見てくれる。」と考えていることがよくあります。
営業担当者が重大な法令違反をしたことが発覚した、または利用者が民事訴訟を提起した場合、会社は担当者の「解雇」で済ませます。このような対応を行う会社ではトラブルがよく発生します。根本的な問題は不動産会社幹部の資質にあります。
不動産会社に依頼する場合
最初に連絡する際に、宅地建物取引士を担当者にしてくれるようにお願いすることをお勧めします。大手では難しいことがありますが、中小零細の不動産会社では対応してくれるところが多いです。
最近、親戚または友人が不動産売買を行い、無事に取引できた場合は、利用した不動産会社と担当者とを紹介してもらい、指名しても構いません。
また、筆者の不動産会社のようにネット上に会社案内やブログを掲載している場合、トラブルや不祥事が発生するとTwitterやYouTube等で炎上します。違法行為は一切出来ません。
一般論ですが、ネット上に詳細な会社案内を掲載し、会社の社長や社員によるブログがあり、高頻度で更新されている会社は比較的安心できると思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません