不動産購入、紹介された物件に気に入らない点がある場合

2023年6月21日

 筆者が受ける不動産購入に関する相談の中で多いのは「不動産会社から紹介された物件について気に入らない点がある。価額が安く、お買い得だと思うがこのまま購入しても大丈夫か。」というものです。

 これらの相談における内容はセカンドオピニオンを求めるものです。このブログの「お問い合わせ」に記載しているとおり、筆者はセカンドオピニオンを求める相談に対応しないことにしています。しかし、この類いの相談がかなり多いので、筆者の考えを書きます。

 価額が安い物件には何らかの安い理由があります。その理由がわからない、またはその理由が気に入らない場合は購入を控えることが賢明であることが多いです。

 価額が安い物件の代表的なものを列挙します。収益用不動産の場合、以下の①~⑥および⑧・⑩~⑫に該当する物件では入居者が退去しやすく、空室期間が長期になりがちです。また、⑦(再建築不可)に該当する物件では地震または火災により建物が失われた際に財産的価値がほぼゼロになります。

価格が安い物件

①敷地が鉄道の線路際にある物件
②踏切の近くにあり、電車または列車が接近して通過する際に警報器の音がうるさい物件
③高速道路、国道等の高架橋に近く、自動車の通過音が大きい物件
④谷底にあり、自動車の排気ガスが淀みやすい場所にある物件
⑤川沿いの物件(蚊が発生しやすい場所が多い)
⑥公園に近い物件(公園が、いわゆる不良のたまり場である場合がある)
⑦再建築不可の物件(建築基準法が定める接道要件を満たさない)
⑧物件の前面道路に葬祭場があり、霊柩車および参列者が物件の前を頻繁に通行する物件
⑨擁壁の上にある崖地で建物を再建築する際に擁壁の再構築が必要な土地
⑩室内の窓からは隣の建物の壁しか見えない等、眺望に大きな問題がある物件
⑪家賃の滞納を繰り返す入居者がいる収益用不動産
⑫入居者同士のトラブルが頻発する収益用不動産(問題を起こす入居者がいる)
⑬隣地の所有者との間に境界に関する争いがある物件
⑭所有権移転仮登記などの危険な登記がある物件(登記が削除されない限り、購入するべきではない)

 物件の価格が安い理由が説明され、納得できる場合は購入しても構わないと考えます。しかし、価格が安い理由を納得できない、不安に思う、リスクを許容できない等の場合は購入を控えることをお勧めします。