東京都城南エリア(主に目黒区)の住宅事情(その1)
筆者は目黒区に50年以上居住しており、目黒区内において16年以上にわたり不動産会社を運営しています。このため、お客様だけではなく近隣の不動産会社に勤務する数多くの不動産会社の営業担当から住宅事情に関する質問を数多く受けます。
「城南エリア」の定義はあいまいですが、このブログでは目黒区、品川区、大田区、世田谷区南部とします。このエリアの大半は山手線の外側にあります。特に目黒区は城南エリアの中で最も地価が高額なエリアです。
坂が多いのに地価は高額
目黒区では、鉄道の最寄り駅からかなり離れている場所でも地価がかなり高額です。最寄り駅から徒歩10分以上を要する場所や、最寄り駅から物件までに坂道がある場合でも、実勢価額は坪300万円を超えます。
最寄り駅から近ければ地価は更に高額になります。東急電鉄東横線沿線で最寄り駅から徒歩3分以内のエリアにある整形地では、実勢価格が坪400万円を超えます。商店街に近いエリアでは500万円超です。
地価が高額な理由
何故これほどまでに地価が高額なのかをよく訊かれます。地価が高額な理由はいくつかありますが、標高20m以上のエリアが多く、洪水や高潮等による浸水被害を受ける恐れが少ないことが挙げられます。
区の大半が元来低層の住宅街であり、条例により絶対高さ制限が設けられています。第一種低層住居専用地域では絶対高さ10m、その他のエリアでも大半が絶対高さ制限17mに制限されています。このため良好な住宅環境が守られていると言え、これも地価が高額である理由として挙げられます。
主要駅の近くを除き、タワーマンションは少ない
隣接する品川区の武蔵小山ではタワーマンションの建設ラッシュです。現在は3棟が竣工済ですが、更に2棟を建てる計画があります。武蔵小山は目黒区と品川区の境界と言えるエリアです。
また、JR目黒駅周辺、東急電鉄田園都市線の池尻大橋駅付近、東横線中目黒駅近くにタワーマンションがあります。しかし、池尻大橋駅付近を除き、数は少ないです。
以上の状況なので、建築業界が目黒区内にタワーマンションを数多く建設したいと要望しているようですが、条例があるために新規の建設は難しいようです。
道路の幅員が狭いところが多い
戸建住宅が多いエリアですが、新興住宅街ではないため道路の幅員が狭い場所が多いです。幅員3~4m程度しかない公道が多くあります。その中には一方通行に指定されていない道路が多くあり、このような道路では普通車同士でもすれ違いも困難です。
対策としては幅員を広げれば良いように思います。しかし、前述したように地価が高額なので道路として収用するには多額の費用が必要になります。都市計画道路に指定されている場所を除き、幅員を広げる工事はあまり行われていないのが現状です。
※次回の投稿に続きます。
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