収益用不動産、ワンルーム・1K区分の購入は要注意
最近、副業として収益用不動産を購入して運営を始める方が増えています。コロナ禍の長期化により廃業することを迫られた飲食店の経営者は、残った資金を収益用不動産の購入に充てました。このことも収益用不動産の需要を急増させました。
収益用不動産を購入しようとすると、価格の高さに悩まされます。1棟ものの賃貸アパートを購入しようとすると郊外でも数千万円以上します。都心で築浅の物件を探そうとすると2~10億円以上もします。
それに1棟ものの売物件はあまり多くありません。これに対し、賃貸用区分マンションは物件が数多く売られています。ポータルサイトを探すとかなりの数の物件がヒットします。
やや古めでもよければ東京都23区内や横浜市内でも500万円前後で購入できる物件があります。高級住宅街にあるプレミアム要素が強い物件でも2,000~4,000万円程度で購入できるものが多いです。
価額が安く見えることから最終的にワンルーム又は1Kの区分マンションを選択する方が多くいらっしゃいます。
ワンルームおよび1Kにおける空室率が増加中
現在、ワンルームまたは1Kの区分マンションを購入した方の多くが「空室が埋まらない」として悩まれています。また、筆者に空室対策に関する相談がよくあります。
不動産会社の営業担当から「利回り○○%なので△△円の利益を毎年得られます。」等のセールストークを受けて購入した方が多いです。しかし、入居者の退去後、次の借主が決まらないことから半年以上も家賃収入が途絶えている方が多くいらっしゃいます。
このような状況になるとマイナス収支です。空室でも管理費および修繕積立金が毎月発生し、これはオーナー様が毎月負担することになります。事業用ローンを利用して購入した場合はローンの返済も必要です。空室の状態が半年~1年程度続くと運営の破綻が目前の状況になります。
なぜ空室が埋まらないか
コロナ禍の長期化
空室が埋まらない原因の一つは、想定以上にコロナ禍が長期化したことです。東京などの大都市で働いていた単身者は、コロナ禍による営業時間短縮や閉店のために一斉に解雇されました。当初の予想に反し3年以上も流行し続けたため、深刻な状況になりました。
大都市で働いていた多くの方が地元に帰り、別の職種にて再就職しました。「もう飲食店はこりごり。新たな感染症が発生したら、また解雇されるかもしれない。」と考えた方が多いようです。
コロナ禍がほぼ終息したと言われる現在でも、東京には単身者が戻ってきていません。コロナ禍になる前と比較するとかなり少ないです。
消費税増税と異様な物価高騰
空室が埋まらない原因の二つ目として考えられるのは、消費税の増税と異様なまでの物価高騰です。物価が高騰している原因は円安とロシア-ウクライナ間の戦争です。
東京を離れ、故郷に帰った方から「東京は家賃も物価も異様に高いことに気付いた。」と言われます。これでは東京で生活する単身者は増えません。
単身者用物件の急増
コロナ禍により東京都内では収益用不動産の購入に対する需要が増大しました。ブームの到来を察知した不動産会社や建設会社がワンルームおよび1Kの新築賃貸マンションを数多く新築しました。さらに相続税対策としてワンルーム・1Kのマンションが数多く建てられました。
物件の数が急増し、明らかに供給過剰になりました。このことも空室が埋まりにくい原因の一つです。
まとめ
収益用不動産の運営を始めて行う方に対し、ワンルームおよび1Kの収益用区分マンションはお勧めしにくい状況になりました。大きな利益を出せる物件がある反面、購入した途端に赤字になるマイナス収支の物件が増えています。物件間の格差がとても大きくなっています。
ワンルームおよび1Kの収益用区分マンションを購入して大きな利益を得ている方は大勢います。しかし、利益を出せる物件か、管理費や修繕積立金が将来において不足しないか等を厳しく見極めています。このような厳しい見極めが出来ないうちは手出し無用です。
ワンルームおよび1Kの収益用区分マンションは、収益用不動産運営のベテラン向きです。
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