不動産購入、現地確認を怠ったために大損害(その3)

 不動産売買や建売住宅を建築する不動産会社でも、現地の調査や確認を怠ったことから大損害を被ることがあります。

 建売住宅の販売会社は1箇所の土地で複数の戸建住宅を建てられる土地を探しています。広い土地をなるべく安く買い上げ、土地上にある古い建物を取り壊し、分筆後に戸建住宅を新築して販売します。広い土地を求める理由は、1区画の土地で複数の物件を建てることにより作業費を大幅に節減することが可能になるからです。

 マンションディベロッパーも広い土地を探しています。駅から至近で広大な土地を買い取り、新築の分譲マンションや賃貸用の収益用マンションを建築します。

 建売住宅の販売会社やマンションディベロッパーはなるべく平坦な土地を希望します。傾斜地や擁壁がある土地は工事費がかさむことが多いので敬遠する傾向があります。このため、都心にある広い平坦な土地、特に駅から至近に立地している土地は垂涎の的です。

 このような土地が売り出される場合、早い者勝ちになることが多いです。このため、現地を調査している時間的余裕がないとして調査が不十分の状態で買い上げてしまい、多額の損失を抱えて倒産する事案が数多くあります。

 広大かつ平坦な土地に関する売り出し情報は、ごく一部の不動産会社のみに伝わります。そして販売価格を安くする代わりに契約不適合責任を免責とすることを条件として売却されるのが通常です。

 つまり、この土地を購入する不動産会社は土地を安く購入できますが、当該土地の瑕疵を自己責任で解決することが求められます。

 最近多いのは土地を購入して調査したところ、大量の産業廃棄物が土地に埋設されていることが判明する事案です。

 質の良くない解体業者が、他の物件の解体時に発生した産業廃棄物を持ちこんだ場合にこのような事が起きます。土を掘り出して産廃を埋め立てるのが常套手段のようです。酷い場合は化学薬品が入ったドラム缶や自動車、工作機械等が埋められています。

 このような土地を購入した場合、購入した不動産会社が産業廃棄物を掘り出し、処理しなければなりません。契約不適合責任が免責とされている以上、産業廃棄物の撤去義務は購入した不動産会社にあります。

 現在、産業廃棄物の処理費は高騰しています。外国へ輸出して処理してもらうことが世界的に許容されなくなったからです。何億円もの処理費が発生することがあり、戸建住宅建設の現場でこのようなことがあれば会社の倒産に直結します。

 事前確認をせずに購入した不動産が原因で倒産した不動産会社は数多く存在します。