中東の戦争が国内不動産に及ぼす影響

 各種報道によると、イスラエルとパレスチナ自治区のガザとが相互に空爆を始め、多数の犠牲者が出ています。大規模な戦争にエスカレートし、しかも長期化する恐れがあるとのことです。

ホルムズ海峡が封鎖される?

 イラン、その他の中東諸国がこの戦争に参戦した場合、ホルムズ海峡が封鎖される恐れがあります。世界中で原油の輸入が非常に困難になり、生産設備が停止し、輸送船の燃料を確保できなくなります。

 日本は原油を備蓄しています。これを取り崩して残りが少なくなった場合、発電ができなくなり工場の生産が停止します。

 さらに日本はアメリカの同盟国に位置づけられています。諸外国の中には反イスラエル、反米の国があります。また、今回の戦争ではパレスチナ側につくことを表明する国が多数出てくることが想定されます。これらの国が生産する材木、鉄鋼、建材、水道配管、水回り部材、電気製品等の輸入が困難になる恐れがあります。

 資材の流通が滞るので建設がストップします。コロナ禍であったときと同様に国内産業が正常に機能しなくなることを考えておく必要があるかもしれません。

労働者が解雇され、賃貸住宅の運営に支障

 国内の産業が停滞した場合、労働者が解雇されることがあります。解雇は賃貸住宅における家賃の滞納につながります。保証会社から代位弁済を受けられることが多いですが、あまりにも滞納が多いと保証会社が倒産する恐れがあります。倒産すると代位弁済を受けられなくなります。

 事業用ローンを利用して1棟マンションやアパートを購入したオーナー様の多くが悪影響を受けると思われます。

新築物件が売り出されなくなる

 資材が市場から消えると、新築マンションおよび新築戸建住宅の建築が止まります。日本人は新築物件を求める傾向がとても強いですが、売り出し中の新築物件が全くない状況に陥る恐れがあります。

対応策

 戦争がどの程度拡大するか、現時点ではわかりません。しかし、ホルムズ海峡が封鎖された場合、封鎖は長期化すると考えておく必要がありそうです。

 新築物件の購入を検討している方は、早めに動いた方が良いかもしれません。中古物件を求める方も、リフォームを前提として購入する場合は注意が必要です。

 収益用不動産のオーナー様におかれては、設備の更新や修理が必要な箇所がある場合は早めに対処しておくことをお勧めします。資材の供給が停止した後では対応が困難になるからです。