高級腕時計シェアサービスの運営会社が解散

 2月5日午後~6日朝に降った大雪による影響で、東京都内は流通網が大きく麻痺しました。スーパー、コンビニでは7日の夕方時点でも生鮮食料品、弁当、パン類の棚がガラ空きです。一部のファミリーレストランでは8日の午前中まで休業しました。

 原因の一つはは首都高速道路や第三京浜道路などが長時間通行止めになり、周辺の幹線道路が大渋滞したことにあります。物流トラックを動かせないので、店舗に商品が並ばない状況に陥りました。

トケマッチ(高級腕時計シェアサービス)の運営会社が解散

 各種報道によると、高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」を行っていた合同会社ネオリバースが事業を停止しました。

 高級腕時計の所有者がネオリバース社に高級腕時計を貸し出します。次に、ネオリバース社は高級腕時計を借りたい方を募り、レンタル料を徴収して貸し出します。そしてレンタル料として得られた収益の中から高級腕時計の所有者に配当が行われるというシステムのようです。

 事業が停止したことから腕時計の所有者に時計が戻らないことが考えられます。腕時計を貸し出した方はとても後悔されていることと思います。

 筆者が着目したのは、この会社は2021年1月にトケマッチを開始し、同年10月に宅地建物取引業免許を取得していたことです。不動産業を「ハウスーモ」の名称で展開し、非公開の収益用不動産売買を手掛けていたようです。

 トケマッチで集めた時計を第三者に貸し出すことなく売却すれば多額の資金を得られます。質入れすれば多額の資金を借りられます。これらの資金が収益用不動産の買い取り資金に流用された可能性がありますが、現時点(2月9日時点)では明確な証拠がありません。今後、刑事事件に発展した場合は明らかにされると思われます。

 (一社)シェアリングエコノミー協会のWEBサイトにおけるNEWS欄に、トケマッチの件が記載されています。ネオリバース社に預けられた高級腕時計が二次流通しているとの情報が記載されています。今後、刑事事件(横領)に発展する可能性が高いです。

 トケマッチでは年利10~20%の利回りを得られると宣伝していたとのことです。高額な不労所得を得られると思い込み、貸した方が多いと思われます。

 しかし、腕時計には自動車のような登録制度がありません。盗まれた後にフリマアプリ等で善意の第三者が購入したら、所有者は泣き寝入りするしかありません。

 テレビCMで放送していたことから安心して貸したのでしょうか。なぜ高級腕時計を得体の知れない会社に貸すのかが理解できません。

 ちなみに自動車の所有権(車検証データ)は国土交通省が登録しています。盗まれて第三者に売却された場合でも、当該第三者から取り戻すことが可能です。売主と称する者(盗んだ犯人)に「善意の第三者」が代金を支払った場合でも車検証に記載されている所有者が保護されます。最判昭62.4.24は、登録された自動車に民法第192条は適用されないと判示しています。

民法

(即時取得)

第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

 トケマッチを始めた動機が収益用不動産の購入資金確保であれば、嘆かわしい限りです。