今後、不動産価格は2極化しそうです
※おことわり:本日の投稿は主に1都3県(東京都内、神奈川県、千葉県、埼玉県)において該当します。その他のエリアでは該当しない場合があります。
現況(東京都23区内)
ご承知の通り、コロナ禍になったことをきっかけとして収益用不動産に対する人気が高まりました。その結果として物件価格が急騰し、利回りが低迷しました。
コロナ禍の終息に伴い経済状況が元に戻り、収益用不動産の価格が下がると思われました。しかし、急激な円安により、国内の収益用不動産が外国勢により猛烈に買い上げられました。このため価格は急激に上昇し、東京都23区内にある収益用不動産の多くは表面利回り5.5%未満という状況です。最近、JR山手線の内側では表面利回り2%台の物件が売り出されています。
収益用不動産だけではなく、実需用不動産も価格が大きく上昇しています。原因はアパートや賃貸マンションの建設用地に対する需要の増大と資材価格の上昇です。
現在、筆者の会社がある東京都目黒区で整形地に建つ駅近の戸建住宅を購入する場合、1億円ではまず購入できません。JR山手線の駅近くに限定すると、3億円を超える物件ばかりという状況です。
区分マンションも価格上昇が著しいです。現在、資材価格の急騰によりマンションを新築する動きが停滞しています。マンションディベロッパーが大手ゼネコンに新たなマンションの建設を依頼しても引き受けてもらえないからです。
このため、新築区分マンションは数が少なく、希少価値が生じています。新築の区分マンションの価格は猛烈に高く、ファミリー向けはいわゆる億ションばかりという状態です。
新築物件が少ないため、中古の区分マンションに対する需要が増えており、中古物件も価格が上昇しています。
東京都23区内にある築10~20年前後のファミリー向け物件の場合、1億円を超える物件が増えています。山手線の内側では3~5億円の物件も珍しくありません。
このような高額な物件を購入できるのは、主にパワーカップル(夫婦共働きかつ高収入)か、資産家です。夫婦の一方のみが働く場合、東京都23区内にある利便性が良好な新築戸建住宅の購入は難しくなっています。
都心の物件は高額であるが、利便性が良ければ売れる
現在はコロナ禍後の大不況と言える状況ですが、都心にある交通の便が良好な物件は、高額でもよく売れています。
売れる理由は利便性が高いからです。パワーカップルの場合、最寄り駅の近くで買い物が出来、しかも徒歩圏内にあることを必須の条件として物件を選択します。買い物に多くの時間を割けないからです。
資産家の方は、多くが高齢です。このため、駅近であり買い物に便利であることを優先して物件を探されます。日常の買い物に車の利用が必須になる物件は、最初から検討の対象になりません。
駅から物件までの距離が離れている物件、およびバス便物件の人気は低迷しています。東京都23区内でも、最寄り駅から徒歩10分を超える物件は、検討の対象外と判断する方が増えています。
急に売れなくなっている東京郊外の物件
東京都23区の郊外である多摩地区、神奈川県川崎市・横浜市には新興住宅地が数多くあります。これらのエリアでは約60~20年前に大規模な宅地造成開発が行われ、主に戸建住宅が建築されました。売り出された当初はベッドタウンとして人気があり、部屋数が多い広い建物と広い庭が付くメリットが強調されました。
郊外の分譲開発地の中には敷地の最低面積(例:125㎡等)が条例で指定されている土地があります。分譲された時点では部屋数が多い大きな建物と広い庭を備えた住宅が整然と並ぶ街が高級住宅街であると認識されていたようです。敷地の最低面積を条例で指定しているのは、狭小な住宅が建てられることを防止するためです。
しかし、少子化が進んでいることから部屋数が多い大きな建物は不要と考える方が増えています。また、庭に植栽を設けても維持する時間的な余裕がなく、虫害の心配があるので庭は不要と考える方が増えています。
最も大きな問題は、郊外にある新興住宅地の多くは駅から離れており、しかも都心まで行くのに時間を要することです。食料品や日用品を購入する目的でコンビニや大規模商業施設まで行く際に車の利用が必須になるエリアは人気がありません。
バス便物件ではバスの運行本数が問題になります。日中の発車間隔が30分を超えるエリアは検討の対象外になりやすいです。
郊外の新興住宅街、特に敷地の最低面積が条例で指定されている土地の売却はかなり難しくなっています。価格を少し下げても売却出来ないことが多いので、今後は市場流通価格自体が大きく下がると予想しています。
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