中古区分マンションの売却、売主によるリフォームは得策か

 中古区分マンションを売却する際は現況で売却するべきか、リフォームしてから売却するべきか悩まれる方が多いです。

 売主が長年居住していた物件では、相応の傷みがあることが大半です。室内のクロスや床板の変色、水回り(システムキッチン、給湯器、トイレ便器、洗面台)等に不具合があることが多いです。乱暴に利用されていた物件では壁に穴が空いていたり、室内扉のガラスが割れていることがあります。古い物件では床板が腐食していることがあります。

 このような状態の物件は、価格をかなり安く設定しても現況で売却できることはかなり稀です。物件を購入した買主は直ちに入居したいと考えています。最近は職人の人手不足が深刻です。工事が終わらないと入居できないところ、大掛かりなリフォームは工期が長期化しやすく、購入しても直ちに入居できません。このため、どうしても敬遠されます。

 売却を不動産会社に相談すると「売主様の費用負担によりリフォーム工事を行い、その後に売却すれば高く売れます。」などと言われることがあります。

 大切に利用されていた物件で、室内の傷みがそれ程ではない物件は現況で売却して構わないと思います。多少の傷みがあるものの、室内クロスの貼り替えや室内扉の修理程度で買主様が満足できる状態の場合があります。この場合は、売主様によるリフォームを実施することにより物件を高く売却できる可能性が高いです。

 しかし、システムキッチンや洗面台、浴槽などの傷みが酷く、交換が必要な場合はリフォーム費用がかなり高額になります。ファミリー向けのマンションをフルリフォームすると、概算で700万円~1000万円以上を要します。ところが、これだけの費用をかけてリフォームを行っても、市場流通価格を超える価格で売れるとは限りません。

 不動産買い取り業者に売却すると、買い取り価格は市場流通価格の6~8割になることが多いです。このため、買い取り価格を約7割と仮定し、この価格にリフォーム費用を加算した金額が市場流通価格を超えるかで判断することをお勧めします。市場流通価格はアットホーム、SUUMO等のポータルサイトを参照することによりある程度把握することが可能です。

 リフォーム費用を加算した金額が市場流通価格を超える場合は、現況で不動産買い取り業者に売却することが得策であることが多いです。超えない場合はリフォームを行った後に不動産会社を通じて通常の販売活動を行ってもらうことによる売却で構わないと考えます。