賃貸物件オーナーになろうとする方の勘違い(その1)

 本日の投稿は、これから賃貸不動産のオーナーになろうとする方に対する内容になります。

 このブログの読者の中には収益用不動産を購入し、賃貸住宅の運営を行うことをお考えの方がいらっしゃると思います。筆者はオーナー様から様々なトラブルに関する相談を受けています。多くは運営が破綻寸前であるというものですが、原因の多くは物件購入前におけるオーナー様の勘違い、および調査不足です。

 以下の勘違いがとても多いです。

よくある勘違い

①賃貸住宅の運営で得られる収入は不労所得である。
②管理に数パーセントの管理費を管理会社に支払うのは馬鹿げているので自分で管理するのが得である。
③表面利回りが高ければ高いほど良い物件である。
④貸室が相場よりかなり高い家賃で貸し出されており、満室である物件がお買い得。
⑤物件に「空室あります」などの貼り紙をしてオーナーが自ら入居者の募集を行い、契約書の作成もオーナーが行うことにより仲介手数料を節約できる。
⑥家賃の滞納が発生したら「追い出し屋」を利用して力ずくで追い出し、室内の家財を搬出して鍵を替えて構わない。
⑦入居審査を家賃保証会社に代行させると日時を要するので、オーナーが自ら入居希望者と面談して入居の可否を判断する。
⑧家賃出納や管理を全て丸投げできるので、サブリース事業者を利用するのが得である。
⑨線路際や崖上の物件でも駅から近ければ直ちに購入するべきである。
⑩収益用区分マンションは安く買える収益物件であり、収益用不動産運営の初心者向きである。

本日の投稿では上記の①および②について説明します。

①賃貸住宅に運営で得られる収入は不労所得である ⇒ 誤り

 管理を外部業者に任せない場合、以下の内容を全てオーナーが行う必要があります。

入居者からのクレームに対する対応はオーナーが行う必要があります。例えば給湯器やエアコンの故障により修理するか新品に交換するかの判断はオーナーが行います。新品交換を行う場合は機種を選定し、価格交渉を行い、工事日を決めて入居者に周知する必要があります。

 建物の定期点検は欠かせません。台風が通過した後は屋上の防水シートや屋根を確認し、飛来物などによる破損の有無を確認する必要があります。破損を確認した場合は業者を手配して修理しなければなりません。

 建物の外壁が汚れていると、空室が生じた際に入居希望者がなかなか現れません。汚れが目立つ場合は複数の業者から見積もりを取り、工事を発注します。

 言うまでもなく、家賃の出納管理は最も重要です。家賃の入金が遅れている賃借人には督促する必要があります。どうしても家賃を支払わない場合は連帯保証人または家賃保証会社に代位弁済をしてもらうことになります。

 滞納が続いている賃借人がいる場合は退去に向けた交渉を行う必要があります。交渉が成立しない場合は法的手段を執る必要が生じます。

 入居者が退去する場合は貸室の現況を確認した上で敷金の清算を行います。退去を確認したらリフォームを行いますが、リフォーム業者の手配、工事の発注もオーナーが行う必要があります。その後は不動産会社を通じて入居者を募集します。仲介を依頼する不動産会社の選定はオーナーが行う必要があります。

 家賃収入は確定申告を行わなければなりません。税務書類の作成、納税額の確定と支払も行う必要があります。

 以上に述べた内容については、その多くを外部の業者に委託することが可能です。しかし、この場合は委託先の業者が誠実に業務を遂行しているかをオーナーが随時確認する必要があります。明確に言えることは、収益用不動産の運営による収入は不労所得ではないことです。

②管理に数パーセントの管理費を管理会社に支払うのは馬鹿げているので自分で管理するのが得である。 ⇒ 誤り

 ①において述べたとおり、管理の全てをオーナーが単独で行うことはかなり困難です。数パーセントの管理費が必要ですが、家賃の出納管理、クレームの受付、共有部の清掃は外部委託が得策です。

 多くのオーナーは、これらについて不動産会社または管理会社に外部委託しています。

★次回の投稿に続きます。