日経平均株価の暴落と円高、不動産市場への影響は?

 ここ数日、日経平均株価が暴落しています。2024年になり、株価は大きく上昇し、7月11日に過去の最高価格である42,224円になりました。

 ところがその後は次第に下がり、8月になってからは連日大きく値を下げています。8月5日の取引終了後における日経平均は31,454円であり、最高値の約4分の3になっています。

 為替相場は2024年7月3日に1ドル161.62円という円安になりました。しかし、8月5日の午後3時時点では1ドル142円前後の円高になっています。

 原因は日銀が政策金利の引き上げ(0.1%を0.25%に変更)および金融緩和の縮小を発表したためと言われています。また、アメリカの失業率が過去最大に上昇し、米製造業景況感指数が下がり、米国株が値下がりしたことも挙げられます。

 貯金を株式投資に充当している方の大半は、かなりの損失を被ったものと思われます。とくにレバレッジを効かせて国内の個別株を購入した方の中にはこれから多額の追証を請求される方が数多くいらっしゃると思います。空売りをして儲けた方は一部であると思われます。

 今後、株価が更に値下がりするか、このあたりが底値で今後は上昇に転じるのかはわかりません。この株価の値下がりと急激な円高は不動産市場に大きく影響します。

不動産市場に対する影響

 不動産価格がいつ頃にどの程度変動するのかを現時点で予測することは極めて困難です。価格が大きく下がると予想している方が多いようですが、筆者の見解は少し異なります。詳細は後述します。

 懸念されるのは、物件の価格が上昇していることから株で儲けてから購入することを考えた方が多くいらっしゃることです。このように考えた方の多くは住宅購入資金で株式を購入し、多額の損失を被りました。

 損失を被った方の多くは新規の物件購入または買い替えを中止することになると思います。家の買い替え、新たな住宅の購入に急ブレーキがかかりました。

利便性が良好なエリアでは物件が少なくなるので購入できない状況へ

 不動産の買い替え需要がないと、中古物件や土地が売り出されることはありません。今後は買い替え需要が激減することから売り出される中古物件および土地の供給量がとても少なくなると思われます。

 しかし、利便性が良好な人気のあるエリアにある不動産を欲しがる方は多いです。物件が売り出されたら直ちに売れる状況になり、売主が強気になると思われます。したがって、このようなエリアにある不動産は値上がりが想定されます。

 これに反し、郊外の利便性が低いエリアにある物件は、購入希望者の絶対数が減ることから値下がりが想定されます。不動産の購入希望者が減っている状況なので、利便性がやや劣るエリアにある不動産の売却期間は長期化します。早期の売却を希望する売主は値下げして売却するからです。

 つまり、株安と円高は不動産価格の二極化を促進するというのが、現時点における筆者の見解です。