東京およびその近郊では新たな売物件が激減
前回の更新より期間が空いてしまい、申し訳ありません。
最近、中古不動産を購入を希望されるお客様から「数多くの不動産の中から選びたいので物件を数多く紹介してほしい。ネット上で得られる不動産情報の中には満足できる物件がない。」と言われることが増えています。
また、このブログの読者の中には買い取り業者に勤務している方が数多くいらっしゃいます。「買い取った後に転売できる物件に関する情報が欲しい。」と頼まれているのですが、紹介できる物件はほとんどありません。
実需用(自宅向け)不動産、収益用不動産の両方とも、今年の夏頃から物件の動きが急激に鈍くなっている感があります。東京およびその近郊では売物件の数が激減しています。
実需用の売物件が激減している理由
実需用、収益用を問わず、中古物件が売物件として売り出される理由の多くは買い替えです。
最近の異様な円安により、外国人は日本の不動産の大バーゲンが始まったと認識しました。不動産価格は需要と供給とのバランスにより決定されますが、外国人が猛烈な勢いで買い上げたことにより価格が急騰しました。
東京都23区内におけるファミリー向け中古マンションの平均価格は1億円を超えるようになりました。このため、買い替えを考えていた方の多くが新しい物件を購入出来なくなりました。
また、コロナ禍を原因とした資材価格の高騰および人手不足により新築マンションの建設がかなり抑制されています。新築物件は数が少ないことから価格を大幅に引き上げても売れる状況です。価格が高額であるため、現在居住しているマンションや戸建住宅を売却して新築マンションを購入することが難しくなりました。
さらに不況の深刻化、増税や金利上昇、大地震などの災害等を懸念する方が増えています。このことも、買い替え需要の低迷に繋がっています。
実需用不動産の売物件が少ない理由は、買い替え需要の激減が大きな原因であると考えられます。
収益用不動産の売物件が激減している理由
1棟マンションやアパートなどの収益用不動産も価格が急騰しています。原因の一つはコロナ禍の長期化による需要の急増です。コロナ禍でも売上げを出さなければならない企業の多くが収益用不動産を数多く購入しました。
現在、コロナ禍はほぼ終息したとの認識が広まっています。しかし、大幅な円安をきっかけとした外国人による購入が激増しました。物件の価格は大きく上昇しましたが、入居者が支払う家賃の値上げはとても困難です。このため、物件の利回りが低迷しており、東京都23区内の城南エリアおよび山手線の内側では表面利回り年3.5%~5.5%程度の物件ばかりになっています。
この利回りでは固都税(固定資産税および都市計画税)を支払うのがやっとであり、利益がほとんどありません。事業用ローンを利用して購入すると、赤字になるかもしれません。それでも外国人による需要はとても大きいです。外国人は将来、円高になった際に売却して大きなキャピタルゲインを得ることを考えているものと思われます。
コロナ禍になる前は、東京都23区内の城南エリアや山手線の内側にある物件の表面利回りは6~9%程度でした。このような利回りが高い収益用不動産のオーナーは、物件を買い替えた途端に収入が激減します。これでは余程の事情がない限り、売却する気になりません。
収益用不動産の売物件が少ない理由も買い替え需要の激減が大きな原因であると言えます。
今後の見通し
今後の価格動向についてよく質問を受けます。これは為替相場により大きく変わると考えています。
現在の円安は明らかに異常です。輸出企業に大きく儲けて貰うために意図的に円安にしているとの言説があります。
しかし、日本経済は内需に依存する部分が大きいです。それに、物資の多くを輸入に依存していることから円安により物価が上昇し、国民の収入が目減りします。その結果、不動産の購入意欲が減退します。
現在よりも円安が進み、賃貸不動産が現在よりも多く外国に売却された場合、家賃収入の多くが海外に流出します。輸出企業を儲けさせても、日本人が支払う家賃が外国に流れるのでは意味がありません。
アメリカ大統領がトランプ氏になりますが、為替レートが是正される可能性があります。この場合、円高に転じることが想定されます。外国人が購入した不動産が売却されるので収益用不動産における価格上昇は止まると思われます。
しかし、中国による台湾侵攻、南海トラフ大地震、その他の不確定要因があります。このような事態が発生した場合の価格動向は予測が全く不可能です。
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