不動産の内見を、お客様単独で行うことが認められない理由

賃貸、売買にかかわらず、お客様が内見される際には不動産会社の従業員が立ち会います。

しかし、1都4県に緊急事態宣言が発出されたことから、お客様から「自分(の家族)だけで内見できないか」との問い合わせが増えると思われます。この類いの問い合わせは緊急事態宣言が発出される前にもありましたが、今後は増えると予想しています。

来店され、「他人と接触したくないから自分(と家族)のみで内見したい。不動産会社の同伴や説明は不要。鍵を貸して欲しい。」と言われる方がいらっしゃいます。

このような申し出は、私の会社ではお受けしないことにしています。私の会社だけではなく、ある程度の経験を積んでいる不動産会社であれば、お断りするところが大半であると思います。

犯罪に利用される恐れがありますし、室内を汚されることがあるからです。そのようなことがなかったとしても鍵を紛失された、または返却を忘れられた際に、他の方の内見ができなくなることも理由として挙げられます。

鍵を貸し出したことから建物や部屋の鍵が複製され、新しい入居者の引っ越し後に複製した合鍵で侵入し、家財や金品が盗まれる事案がしばしば発生しています。賊が物色している最中に入居者が帰宅した場合は強盗に早変わりすることがあるので極めて危険です。

錠前の交換費用を惜しむオーナーおよび入居者は依然として多く、交換を怠ることからこのような事案がしばしば発生しています。

別の犯罪類型ですが、室内に隠しカメラを仕掛けられることがあります。新しい入居者の入居後に動画を隠し撮りし、ネットに載せ、有料で公開する輩がいます。さらに悪質な場合は、入居者に動画を買い取るように求めてきます。

部屋を汚される事例ですが、単独で内見させると室内で喫煙する方がいます。室内にタバコ臭が残ることから、ハウスクリーニングが必要になります。酷い場合は床や畳に焼け焦げを生じさせることがあります。

さらに、清掃業者が洗浄を済ませているトイレを使用されることがあります。使用されることも問題ですが、トイレの床を汚されることがしばしばあります。

鍵の紛失や返却忘れは論外です。このようなことが起きるとオーナーからの信用を全て失います。

いずれにせよ、これらの事案が発生した場合には、鍵を貸してお客様だけの内見を許した不動産会社の責任になります。緊急事態宣言が発出されているとはいえ、犯罪を防止する必要がありますし、オーナーからの信用を失墜させる行為を認めることは出来ません。

このため、単独の内見や鍵の貸し出しには応じられないのです。