物件を決める際には周辺環境の調査も必要(賃貸物件)

新型コロナウイルス禍であることから、内見する物件の数をなるべく少なくしたいとお考えの方が多いと思います。今年の春は、ネット等で参照した多くの物件を片っ端から内見するのではなく、本命になりそうな2~3件程度を短時間で内見して決める方が多くなると予想しています。

内見の際も現地まで自家用車等を利用し、公共交通機関の利用をなるべく避ける方が増えると思います。しかし、内見に自家用車やタクシーを利用すると、周辺環境の調査がおろそかになることがあるで注意が必要です。

物件から最寄り駅までの道筋に何があるか、道は平坦か等について調べる必要があります。特に高齢者の場合、アップダウンが激しい坂道を歩くことは苦痛です。また、近くに崖地等の危険箇所がないかについても調べておくことをお勧めします。

空港や飛行場、自衛隊基地、米軍基地の周辺では航空機やヘリコプター等の離発着があることから昼夜を問わず、騒音が激しい所があります。どの程度の騒音であればうるさく感じるかについては個人差がありますので、これらの場所の近くが一概に生活しにくいとは言えません。しかし、「こんなはずではなかった」と悔やむことを避けたければ、受忍限度を超えていないかについて実地で確認しておくことをお勧めします。

大規模な工場が近くにある場合、大型トラックが頻繁に出入りします。大通りの前は大型車が通行します。このため、騒音および振動が激しい物件があります。

大通りに面した谷底の物件では、無風状態の際に自動車の排気ガスが淀みます。洗濯物を屋外に干すと煤だらけになるので、コインランドリーの利用が必須になります。

養鶏場、養豚場、産業廃棄物処理施設、ゴミ処理施設などがある場合、風向きにより、かなりの悪臭が漂うことがあります。このような施設がある場合は悪臭の程度を確認しておく必要があります。産業廃棄物処理施設、ゴミ処理施設の現況については、市区町村役場でも把握していることが多いです。

お墓、葬祭場、反社会的勢力の事務所等は心理的な嫌悪施設に該当します。葬祭場の近くでは、礼服を着用した方が毎日のように行き交い、霊柩車が通ります。貸主または仲介する不動産会社において、反社会的勢力の事務所が存在することを知っている場合は、入居を検討している方に告知する義務があります。しかし、その存在を知らない場合は告知義務がありません。このため、それらしき事務所があるとの噂がある場合は、自身で確かめることをお勧めします。なお、これらはいずれも心理的な内容なので、気になる方がいる反面、気にならない方もいます。

前の居住者がなぜ退去したのかについて、貸主や不動産会社に訊いてみても良いと思います。ただし、プライベートの範疇に抵触する可能性があるので教えてくれないかもしれません。

退去した理由が賃料の滞納や転勤であれば問題ありません。しかし、近隣の部屋にトラブルメーカーがいる、大音量の音楽を流す輩が住んでいる等の場合がありますので、要注意です。