非公開の賃貸物件について
賃貸物件を探されている方から「ネットで一切公開していない非公開の物件だけを紹介して欲しい」とか「本当に良い物件は非公開物件の中にあるはずだ。とっておきのものを出して欲しい。」と言われることがあります。
私の会社がある目黒区では、賃貸物件の入居者募集に際しては、ほとんどのオーナー様が空室情報をすぐに広く公開することを望みます。出し惜しみなどしようものなら出入り禁止になりますし、オーナー間で情報が伝わり、賃貸物件の入居者募集に関する依頼がなくなる原因になります。
ということで、通常の物件であれば、非公開にすることはあり得ません。ところが「他の店で『非公開の賃貸物件は沢山あります』と言われ、チラシの束を見せてくれた。こちらにも非公開の物件があるんだろう。それを見せて欲しい。」と言われたお客様がいらっしゃいます。
非公開物件が「チラシの束」になっていることはあり得ません。この方がどこの店に行かれたのかはわかりませんが、「秘密の情報が多く集まる」とか「良い物件は非公開物件の中にしかない」と誤認させるためにこのような行為を行ったのであれば、かなり悪質です。
恐らくはアットホームから定期的に届く物件情報のチラシを見せたのだと思います。不動産会社に定期的に配達される情報チラシに記載されている物件のほとんどは、インターネットなどで既に公開されています。
「良質な賃貸物件は非公開物件の中にしかない」と言うのは誤り(というか嘘)
賃貸物件を非公開にすることにより不動産会社が得られるメリットはほとんどありません。残念ながらお客様に「良い物件は非公開物件の中にしかありません。」と嘘を言い、実際には広く公開されている物件を紹介する、質の悪い不動産会社の営業担当がいます。このような者がいるために「非公開物件を探そう」とお考えになる方が増えているのだと思います。
なお、売買物件では良質でありながら非公開とされているものが多く存在します。
非公開の賃貸物件は存在しますが...
以下のような賃貸物件が非公開になります。非公開にする場合、不動産会社は「一般媒介」としてオーナーと媒介契約を締結します。
1.心理的瑕疵がある物件
室内自殺、殺人事件が発生した等の心理的瑕疵がある物件(事故物件)の場合、不動産会社は非公開にすることがあります。
オーナーの多くは家賃収入が欲しい反面、自分の物件が「告知事項あり」の事故物件として広く知れ渡ることを恐れています。「告知事項有り」として物件情報が公開された場合、事故物件を掲載しているWEBサイトに掲載され、様々な弊害が生じるからです。
事故物件を世間一般に告知することの是非については様々な見解があります。事故物件であることを隠して入居者を募集して欲しいと考えるオーナー、およびこのようなオーナーの意向に従い、事故物件であることを告知せずに入居者を募集する不動産会社が存在するので、事故物件である事実を世間一般に公開する行為を責めることはできないと考えます。
しかし、WEBサイトは誰でも自由に閲覧できることから興味本位で事故物件を探し出し、心霊スポットとして複数人で訪問し、動画を作成してWEBサイトに公開する等の迷惑な輩が存在します。このため「自分が所有する物件が事故物件であることを世間一般には知られたくない」と考えるオーナーを責めることはできません。
事故物件のオーナーの多くは、告知対象を入居希望者に限定することを希望しています。このため、不動産会社では物件情報をWEBサイトに一切掲載せず、店舗事務所に来訪されて「家賃が安ければ事故物件でも構わない」と言われるお客様のみに紹介することが多いです。
2.近隣の部屋にトラブルメーカーがいる物件
夜中に大声で騒いだり大音量で音楽を流す、自室をゴミ部屋にしている、鳩に餌やりをする等のトラブルメーカーがいることにより居住者が退去した物件があります。トラブルメーカーの中にはオーナーや管理会社が注意しても全く聞く耳を持たない者がいます。
オーナーとしては空室が発生した以上、入居者を募集したくなります。「家賃を安くするから入居者募集をして欲しい」と不動産会社に依頼することになります。
このような物件に入居者を紹介した場合、紹介した不動産会社は入居者からのクレームに悩まされることになりますので、この物件に関する情報を広く公開することは困難です。非公開とし、「家賃が特別に安い物件を探している」ということで店舗事務所に来訪された方に限定して紹介することになります。
3.オーナーや管理会社に問題がある物件
最近はあまり多くありませんが、入居したばかりの賃借人に意地悪をしてすぐに追い出し、新しい入居者を募集する行為を繰り返すオーナーや不動産会社が存在します。オーナーは礼金欲しさ、不動産会社は仲介手数料欲しさにこのような行為を繰り返します。郵便受けに汚物を入れる、設備の故障を修理せずに放置する等、意地悪の内容は様々です。
このような物件に関する情報は不動産会社の間で共有されていることが多いです。紹介すると信用に関わりますので、仲介を行う不動産会社では非公開にすることが多いです。
4.賃料の金額が相場から著しくかけ離れている物件
地域の賃料相場に納得せず、例えば賃料を相場の5割増し、あるいは2倍に設定して入居希望者を募集することを求めるオーナーがいます。賃料の相場を説明しても納得せず、どうしても自分が指定する家賃で募集するように迫ります。説明しようとしても聞く耳を持たないオーナーがいます。
高額な家賃を設定する根拠がないことがほとんどなので、このような物件はお客様に紹介できません。不動産会社としては非公開にすることが多いです。
5.オーナーに資金力が無いことから、リフォーム未了の状態で入居者を募集するように求められている物件
「入居者が決まってから原状回復のリフォームをする」と言い、内見前にリフォームをしてくれないオーナーがいます。お客様に物件を紹介しても、内見の際にはリフォーム前の状態でお見せすることになります。
このような物件は成約する可能性がほとんど無いので非公開にすることがあります。
まとめ
不動産会社を訪問し、「非公開の賃貸物件を探している」と告げると、何らかの問題がある物件を紹介されることにつながります。非公開物件に限定して賃貸物件を探すことは絶対にお勧めしません。
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