不動産を競売で購入する際は要注意(マンション区分所有権 その4)
競売で区分マンションを購入する際は、滞納されている管理費および修繕積立金に注意
不動産競売物件の情報サイトを参照すると、区分マンションの中に売却基準価額が異様に安い物件が見つかることがあります。地方のリゾート物件では1万円という物件がありますし、かなり豪華なのに50万円程度の価額である物件があります。
安い理由の大半は、管理費および修繕積立金を滞納しているからです。マンションの一室が譲渡された際に未納の管理費および修繕積立金等がある場合は、譲受人(競売で落札した買受人)が支払わなければならないことが、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)により定められています。
管理費、修繕積立金の他に駐車場利用料等が滞納されていることがあり、更に滞納した金額に年利14.6%の遅延利息が加わります。この他に数十万円程度の弁護士費用が上乗せされていることがあります。
裁判所が作成する現況調査報告書には滞納されている管理費や修繕積立金の金額が記載されています。ただし、記載されているのは調査を行った時点における滞納額であり、競売の実施後、代金納付までの間に滞納額や遅延利息が更に膨らむことがほとんどです。
物件によりますが、都心のファミリー向け区分マンションでは滞納額および利息の合計が400万円以上を超えることがあります。これらの費用は落札者(買受人)が物件代金納付後に管理組合(または管理会社)に支払わなければなりません。裁判所が定める売却基準価額は、この滞納額を差し引き、定められています。
競売で売られているマンションの中には、滞納されている管理費および修繕積立金を合計した金額よりも価値が低いとしか思えない物件があります。このような物件を落札すると、実際の物件価値を超える金額で物件を購入しなければいけなくなります。落札直後に気付いた場合は、手付金を流して購入しない方が良い場合があります。
競売では管理規約や管理細則を事前に参照できない
裁判所が作成する現況調査報告書にはペットの飼育が可能かについて書いてあることが多いですが、飼育可能な動物の種類や頭数は記載されていない場合があります。単に「ペット飼育可(管理細則に定めあり)」としか記載されていないことがあります。
事務所としての利用を制限しているマンションがあります。自宅兼事務所として利用することを考えていたところ、管理規約で禁止されていることが判明し、事務所としての利用を諦めるしかなかったという方がいらっしゃいます。
管理規約に床のフローリング板の交換禁止や間取り変更の禁止が記載されていることがあります。3LDKのマンションを購入して1LDKにリノベーションしようとしたら管理規約で禁止されていたとか、和室を洋室に変更しようとしたところ禁止事項であった等の事案が実際にあります。
リフォームまたはリノベーションを行う際には管理組合に届け出て、次回の管理組合理事会の承認を得なければならない等の規約を定めているマンションがあります。理事会の開催頻度が1~2か月に1回である場合、リフォームを始めるのに2か月以上待たされることがあります。
「事務所としての利用はせず、自宅として利用する」「リフォームやリノベーションは当分の間行わない」という方でなければ、区分マンションを競売で購入することはお勧めできません。
管理組合理事会の理事が輪番制である場合がある
これについては裁判所が発行する現況調査報告書に記載されていないことが大半です。輪番制を採用し、理事になる方を部屋番号で決めているマンションの場合、購入直後に理事就任の要請が来る事があります。
眺望を確認できない
ほとんどの物件では内見が出来ないので、これは仕方ありません。競売不動産のほぼ全てに共通する問題点です。
まとめ
不動産会社の仲介で購入する場合には、管理規約や管理細則などを事前に確認できるので、上述した問題が起きることは、あまりありません。しかし、競売で購入する場合には注意が必要です。少しでも不安がある場合は、入札を控えるのが賢明です。
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