内見を装った強盗事件が、また発生
3月30日の午後、江戸川区北葛西のマンションを内見していた人物が、不動産会社における内見担当者を刃物で脅し、キャッシュカード等を奪う強盗事件が発生しました。検索により多くのソース記事がヒットしますので、引用はしません。
40歳くらいの男女が不動産会社を訪問し、20代の女性従業員が内見に対応したとのことです。3月19日にも同様の事件が江東区で起きていますが、こちらは50代の男性および60代の女性が犯人のようです。
二つの事件に関連があるかはわかりませんが、犯人の年齢層が微妙に異なるようなので、異なる二人組による犯行である可能性があります。
ポイントになるのは以下の二点です。
・男女二名で不動産会社を訪問している。
・20代の女性従業員が一人で内見を担当した。
男女二人で不動産会社を訪問し、不動産会社の警戒を緩めたものと思われます。若い女性従業員も警戒心をそれほど抱くことなく、一人で内見を引き受けたのだと思います。
計画的であり、絶対に許される行為ではありません。あってはならないことですが、死者が出るとオーナーも大きな迷惑を被ります。事故物件として扱われることに繋がるからです。
内見の担当者、犯人のいずれであっても絶命した場所が室内である場合には、その部屋は事故物件になります。ただし、犯人が逃走して共用部で絶命した場合は事故物件にはなりません。
内見の担当者が室内で刺され、搬送先の病院で死亡した場合は、現場の部屋が事故物件になる可能性があります。内見の担当者はオーナーの依頼に基づき入室していると解され、オーナーの関係者とみなせるからです。
事故物件に対する賃借人を募集する際には「告知事項有り」として賃借人を募集することになります。結果として、家賃をかなり下げないと入居希望者はなかなか現れないことになります。
このような事件が発生すると、オーナーが経済的に破綻することがあります。しかし、なぜか破綻してもあまり報道されません。このために見落とされるのですが、賃貸不動産を運営する際に潜むリスクの一つであると言えます。
今後もこのような事件が続いた場合
今のところ、被害に遭った内見の担当者は若い女性従業員ですが、男性従業員が単独で内見を担当する場合も警戒が必要であると思います。
不動産業界における共通の指針はまだありません。しかし、今後も同様の事件が多発する場合には、業界全体として何らかの共通ルールを定めることになるかもしれません。
共通の指針がまだないので、内見に対するルールをどのように定めるかは各々の不動産会社の判断になりますが、都内の不動産業者において予想される対応を書きます。
共通指針が作成されるかはわかりませんし、以下の内容の通りになるかはわかりません。しかし、明確に言えることは、今までのように物件を手軽に内見してもらうことは難しくなると思います。
1.内見の際に身分証明書の提示を求め、提示しない方に対する内見は行わない
現在は、お名前と連絡先(電話番号)の確認だけで内見を実施する不動産会社が大半であると思います。しかし、今後は身分証明書の提示を必要とし、提示してくれない方に対する内見をお断りするところが増えると思います。
「家族や友人の代理人」として来店し、内見を依頼する方がいらっしゃいます。「本人はとても忙しい。代理人である自分が内見し、良さそうな物件があれば教えて欲しいと頼まれている。」等と言い、本人の氏名と電話番号のみを告げ、来店された方自身の氏名や連絡先の申告に応じない方がいます。このような方に対する内見もお断りするところが増えると思います。
2.今すぐに内見が必要な場合を除き、内見を極力行わない
賃貸物件を探しているということで来店される方の中には「今すぐに引っ越すことはないが、次回の契約更新時期(半年後など)における引っ越しを検討しているので、前もって何件か内見したい。」等と言われる方がいらっしゃいます。
現在は空き物件でも、契約更新時に空いている保証はありません。「時期が近くなったら再度御来店ください。」と告げることになります。
このようなお客様に対しても「とりあえずいくつかの物件を案内し、印象づける」ということで内見を行う不動産会社が多いのですが、これが変わる可能性があります。
3.若い女性従業員が単独で内見を担当することを避ける
特に若い男性の方から「若い女性を担当にして欲しい」と言われた場合は最大級の警戒をすることになります。物件の担当者が若い女性従業員である場合は内見担当を追加し、二人以上の従業員で内見を担当することになります。
また、お客様が二人以上である場合も若い女性従業員が単独で内見を担当することを避け、二人以上の担当者が対応することになると思われます。
4.来店したお客様に対し、物件を片っ端から内見させる営業手法はなくなる
希望条件等をあまり訊かずに直ちに車に乗せ、数件の物件をすぐに内見させる不動産会社があります。車の中も密室であり、危険なのでこのような営業手法は徐々になくなると思われます。
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