不動産を購入する際に見落としがちな点(その1、区分マンション)

不動産を購入する際には、その物件に関する説明を受けることになりますが、見落としがちな点があります。不動産会社、売主、買主のいずれも気がつかなかったことから売買が行われたものの、後で問題が判明し、深刻なトラブルになることがあります。

今日は区分マンションについて見落としがちな点について書きます。

1.管理組合の理事が輪番制のため、購入後、直ちに理事に就任する必要があった
管理組合の理事を部屋の番号により割り当てる輪番制を採用しているマンションがあります。部屋数にもよりますが、このようなマンションでは数年~十数年に1回の頻度で理事に就任し、マンション全体の管理に携わらなければなりません。

理事の選任方法が輪番制であるマンションにおける話ですが、売主が理事になる直前であったことから、買主はお部屋(区分マンション)の購入後、直ちに理事に就任することを求められた方がいらっしゃいます。

居住歴がほとんどないのに理事就任を要請され、貴重な時間を理事会の会務に割かれることになりました。「こんなはずではなかった。購入した直後に理事に就任しなければならないことを知っていたら購入しなかった。」と後悔しているとのことです。

管理規約に、理事の選任方法が輪番制であると記載されている場合には注意が必要です。

2.管理費および修繕積立金の大幅値上げが予定されていた
新築マンションでは、買主を早く募るために管理費および修繕積立金を低く抑えているところがあります。初めは安いのですが、建築後数年~10年程度が経過した時点で管理費および修繕積立金を大幅に値上げするところがあります。

大幅に値上げした後の管理費および修繕積立金が、近隣の同グレードのマンションと比較して2倍以上に設定されていることがあります。新築時における管理費および修繕積立金が安価なマンションの場合に、このようなことがあります。

住宅ローンを利用して融資を受けて購入した後に、管理費および修繕積立金が大幅に値上げされると、返済プランが大きく狂うことがあります。

マンション全体の管理を委託されている管理会社がある場合は、管理費および修繕積立金の値上げが検討されているかを仲介を依頼している不動産会社を通じてお尋ねすることをお勧めします。

3.ペットの種類および飼育頭数に厳しい制限があった
私の会社が販売していた区分マンションに対し、ある不動産仲介会社から買付申込書を送りたいとの連絡がありました。お客様は子犬を二頭飼育しているとのことでした。

しかし、管理規約には犬は一頭しか飼育できないと記載されています。その旨を仲介会社に説明したところ、犬は二頭まで飼育できると思い込んでいたとのことです。買付申込書を受理し、売買契約を締結していたら大変なことになるところでした。

また、別のマンションですが、管理規約で犬または猫1頭のみの飼育が認められているものの、は虫類、昆虫、ウサギの飼育を禁止しているところがありました。毒を持たないカブトムシやウサギも禁止対象とのことでしたが、理由はわかりません。しかし、管理規約が禁止対象としている以上、これを遵守するしかありません。

入居を希望するマンションにおける飼育可能な動物の種類および飼育可能頭数を確認することをお勧めします。これは不動産仲介会社を通じてマンション全体の管理を委託されている管理会社または管理組合に確認できます。可能であればマンションの管理規約やペット飼育細則を取り寄せ、内容を確認することをお勧めします。

4.自宅兼事務所としての利用不可であった
自宅として利用している区分マンションで、副業としてネット通販事業を始めることになり、自宅を事務所として利用したくなったとします。このような場合に、自宅兼事務所として利用することを認めていないところが多いので注意が必要です。

複数の業者がマンションに出入りするようになると、他室の住人が管理会社等に照会することがあります。すると管理組合から副業を他の場所で行うか、区分マンションを売却して引っ越すように命じられることになります。

事務所利用を認めない場合は管理規約にその旨が記載されていますので確認をお勧めします。この問題は購入直後に起きることは少なく、後で副業として事業を開始した際に問題化します。

購入後に自宅兼事務所として利用することが想定し得る場合は、その区分マンションを購入することは控えるのが賢明です。

5.エレベーターの通過階であった
あまり多くはないのですが、エレベーターの通過階を設けているマンションがあります。上層階の住人が素速く昇降できるようにしたいとして考案されたシステムです。

例えば偶数階を通過階と定めているマンションがあります。偶数階の住人は、外出する度に1階分の昇降をしなければなりません。これはかなり不便です。

6.駐輪場が狭く、自分の自転車を駐輪できなかった
一人の住人が何台もの自転車を駐輪させていることから、新たに入居する方が駐輪する余地が全くないマンションがあります。

管理規約で各部屋の駐輪可能台数を決めていない場合、この問題の解決は意外に困難です。既に駐輪している自転車は同じマンションに居住する方の所有物なので、管理会社といえども勝手に除去することはできません。

このため、理不尽ではありますが、駐輪の余地がなければ駐輪できないことになります。