都心における区分マンションの査定は難しい

2024年5月30日

※2024年5月30日追記:国土交通省の土地総合情報システムは、2024年3月31日に稼働を停止しました。このため、成約価格を知る方法のリンク先を「土地総合情報システム」から「不動産ライブラリ」に変更しました。

電話で査定価格をその場で即答して欲しいと言われても...
お客様が自宅として利用されている区分マンションの査定を依頼されることがあります。その際、電話でその場で査定結果を教えて欲しいと言われるお客様がいらっしゃいます。

区分マンションにも土地の公示価格や路線価と同じような指標があると思っているお客様が多くいらっしゃいますが、そのような指標は存在しません。詳細は後述しますが、区分マンションの価格査定は、責任のある価格をその場で即答できる性質のものではありません。

お客様から「大手の○○不動産に電話したところ、査定価格をその場で即答してくれたのに、この場で即答できないのですか。」と言われることがあります。

確かに、区分マンションの所在地における平均的な相場、それも上下500万円程度の誤差は許容範囲とした相場で構わなければ即答できることが多いです。

しかし、区分マンションの場合はマンションに備えられている設備、管理体制、お部屋の向き、広さ、間取り、眺望、リフォームの有無、マンション全体のブランドイメージ、敷地の相場、最寄り駅からの距離等の要素が複雑に絡み合っており、これらを総合したものが「区分マンションの価値」であるといえます。

このため、お部屋を内見させていただき、過去の販売実績、成約価格等と照合して査定する必要があります。

成約価格を知る方法
不動産の成約価格については国土交通省の土地総合情報システム国土交通省の不動産情報ライブラリより検索できます。

区分マンションも検索可能ですが、マンション名、部屋番号、および売却事由が公開されていないのが難点です。このため、そのシステムにおいて成約価格として表示される価格と不動産会社や不動産鑑定士が行う査定結果とではかなり異なることがあります。

不動産会社では、不動産データ提供会社のデータベースを利用
不動産会社が売却の相談を受けたことから価格を査定する際には、各不動産会社において提携している不動産データ提供会社が保存しているデータベースにアクセスします。代表的なデータ提供会社は(株)東京カンテイや(株)タスです。

これらの会社では全国における不動産取引データを収集し、過去の実績データとして販売しています。なお、不動産の売買、または売買仲介を生業とする不動産会社であれば、不動産取引データ提供会社と提携しているところがほとんどであると思いますが、全ての不動産会社が不動産データ提供会社と提携しているわけではありません。賃貸仲介、または管理のみを生業とする不動産会社では提携していないところが多いです。

お客様から不動産の査定依頼があった場合は、1件につき数千円~2万円の利用料を支払うことにより不動産取引データの提供を受け、諸条件を加味した上で査定価格を算出します。

築浅のマンションの場合、売却実績がないためにデータベースに登録されていないことがあります。この場合は、近隣にある同じグレードのマンションにおける成約価格を調べ、参考にします。

査定にはデータベース利用料の支払が必要であり、さらに説明資料の作成には相応の日時を要します。このため、電話で査定結果をその場で即答して欲しいと言われても回答いたしかねますし、売却以外の理由による査定依頼はお断りするしかありません。

電話一本で査定結果を即答する不動産会社があるようですが、回答される査定結果は精度としてかなり劣る内容であるとしか思えません。その査定結果は信用するべきではありません。