賃貸物件内見中のお客様に対する不動産会社従業員によるわいせつ行為(6月10日投稿の続き)

2023年11月20日

※令和5年11月20日追記:引用した記事に実在する法人の名称が記載されていたので社名の部分を修正しました。また、リンクの一部を外しました。

2021年6月10日の投稿において、不動産会社の従業員が、賃貸物件の内覧中にお客様に対しわいせつ行為を行った事件について書きました。

犯人は逮捕され、勤務先はこの従業員を解雇しました。その後、事件が発生した不動産会社であるXはプレスリリースとして今回の事件を受けた対応策を発表しました(5月27日付:当社社員による不祥事に関する報道について)。

このプレスリリースから引用します。
※掲載社の都合により元記事が削除され、リンクが切れることがあります。あらかじめ御了承願います。

令和5年11月20日追記:リンクを外しました。

当社社員による不祥事に関する報道について
                                        2021年5月27日
                                    株式会社X(営業中の法人なので修正)
~略~
今回の事態を極めて深刻に受け止め、再発防止への取り組みの強化を図るべく、経営陣の指揮のもと、以下の対応および検討・対策を進めることで、再発防止に努めてまいります。
・ 内覧につきましては、当社社員は入室を控え、おひとりでご来店された女性のお客様には、女性社員がご案内できる体制を整えてまいります
・ 外部の有識者、弁護士、専門家とともに委員会を設置し、再発防止を目的とした仕組みづくり、体制の構築を推進してまいります
・ 法令遵守の徹底および高い職業倫理の醸成に努め、再びこのような行為が行われることのないよう、全社をあげて社員教育を徹底してまいります
~以下略~

株式会社X プレスリリース

注目したのは「・ 内覧につきましては、当社社員は入室を控え、おひとりでご来店された女性のお客様には、女性社員がご案内できる体制を整えてまいります」の一文です。

後半は理解できます。女性が一人で来店された際に、女性社員による対応を行えば、お客様は安心して内見を行うことができます。

しかし、問題なのは前半です。物件の内覧を行う際は、同行する不動産会社の従業員は入室を控えるとのことです。

内見の際に不動産会社の担当者が入室できないと、内見のために折角足を運んでいただいているお客様に物件の説明ができなくなります。

お客様から室内の設備について尋ねられても、部屋の外からでは満足に回答できません。例えば、お客様において見たことがない設備や操作パネルがあった場合、内見に同行した不動産会社の担当者がその設備や操作パネルについて説明することはとても困難です。

また、お客様が室内における壁クロスの汚損や室内設備の破損を見つけた際に、その内容を不動産会社の担当者に対し正確に伝えることも困難です。

入居開始時に賃借人が不動産会社の担当者にクロスの破損等を口頭で申告したものの、不動産会社の担当者が室内の現況を確認しなかったことから見過ごされ、退去時にオーナーが壁クロスの破損等を指摘した場合に、原状回復の費用に関するトラブルが発生することが懸念されます。

具体的には、以下の状況で発生することが懸念されます。

・内見したお客様から「○○町にあるこの物件についてはわかりましたので、次の△△町にある物件を案内してください。」等と言われた。このため不動産会社の担当者は室内に入らず、直ちに次の△△町の物件を案内した。
・2~3日後に、内見したお客様から「○○町の物件に入居したいのでお願いします。」と言われた。しかし、不動産会社の担当者が室内の現況を確認することを失念してしまう。

内見時だけではなく、契約後に物件を引渡す際も問題になります。この時も不動産会社の担当者が入室できないとすると、かなり厄介です。

室内の汚損やクロスの破損がある場合は、賃借人から不具合の箇所を不動産会社及びオーナーに指摘してもらい、相互間で納得した上で退去の際に賃借人が責任を負わないように配慮することが求められますが、この対応が困難になります。退去の際における原状回復費をめぐるトラブルになります。

どう考えても、内見の際に不動産会社の社員は部屋に立ち入らないとする案内スタイルが不動産会社の標準になるとは思えません。

社員教育を徹底することは当然ですが、内見の際におけるお客様への対応については、どうしたらよいのか誰にもわからない迷宮に入ってしまった感があります。