大阪市西成区の住宅街で、建物が崖の法面から崩落した事故について
報道によると、大阪市西成区の住宅街で、建物が崖の法面から崩落する事故がありました。1軒が崩落した後に隣接する建物が次々に崩落し、4軒が全壊しました。幸い、住民は避難しておりけが人はいなかったとのことです。
いわゆる崖地上の建物が崩落する事案は時々ありますが、4軒がほぼ同時に崩落するのはかなり稀であると言えます。
建物が崩落する前に「水漏れがある」との通報が通報が警察にあり、住民は避難していたとのことです。
読売新聞オンラインの記事から引用します。
※掲載社の都合により元記事が削除され、リンクが切れることがあります。あらかじめ御了承願います。
「水漏れがある」と通報、同じのり面上の民家2棟が倒壊…住民避難してけが人なし
読売新聞オンライン
2021/06/25 12:13
25日午前7時40分頃、大阪市西成区天下茶屋東で、2階建て民家1棟がのり面(高さ約10メートル)ごと崩れ落ちた。約3時間後には、同じのり面上に隣接して立つ別の2階建て民家も倒壊。住民らは事前に避難しており、けが人はなかった。
大阪府警などによると、同日午前7時10分頃に住民から「水漏れがある」と通報があり、住民らはのり面が崩れる可能性があるとして避難していた。のり面上にはさらに別の民家も複数あり、大阪市消防局が付近を警戒区域に指定して立ち入りを規制している。府警などが原因を調べる。のり面の下は老人ホームの建設現場だった。
<以下略>
住宅が崩落した現場に隣接する土地では建物の基礎工事が行われていたとのことです。そして付近住民の話によると工事による振動が続いていたとのことです。
原因はこれから究明されるとのことですが、考えられるのは敷地の下に埋設されていた水道管のつなぎ目から漏水したことです。梅雨であることから盛り土の部分が大量の雨水を吸収しているところに、埋設されている水道管から大量の水が漏水した場合、盛り土は土石流として一気に崖下に流れ落ちることが考えられ、その際に崖上の建物を崩落させたのではないかと考えられます。
問題は、漏水の原因です。断定はできませんが、崖下で老人ホームの建設工事をしていたとのことなので、工事の振動が水道管の継ぎ目を緩めてしまい、漏水の原因になった可能性があります。しかし、その立証はかなり難しいと思われます。
また、仮に水道管からの漏水が崖崩落の原因であるとしても、どの建物から発生したのかが問題になります。空家であったことから漏水に気付かないまま放置され、崖の崩落に至ったのであればこの住宅の所有者が責任を負う可能性があるように思えます。しかし、崖地全体の崩落により水道管を大きく損傷させていることは明白であり、漏水の箇所を特定出来ない可能性があります。
財産上の損害は、損害保険に加入していれば、保険金によりある程度は救済されます。しかし、建物が建っていた敷地の復旧には多額の費用を要します。この場所に建物を再建築することは極めて困難であると思われます。
★6月28日追記
崖に設置されている排水パイプが詰まっていた、または設置されている数が少ない場合は水道管からの漏水が生じていない場合でも、盛り土が雨水を大量に吸収していることから崩落することがあるとの指摘がありました。
このあたりについては、続報を待ちたいと思います。
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