不動産会社や管理会社による「追い出し行為」について
※昨日の投稿の続きです。
オーナーの中には「『追い出し屋』に依頼して追い出すのではなく、不動産会社または管理会社の社員が力ずくで追い出してくれることはないのか」と言われる方がいらっしゃいます。
追い出し行為は有形力の行使であり、入居者がいるにもかかわらず実行した場合は暴力行為を伴うことがしばしばあります。不動産会社の従業員が暴力を利用した追い出しを行ったことにより入居者が死傷した場合は、その不動産会社の宅地建物取引業免許が取り消されることがあります。
不動産会社が暴力行為を指示したことが証明された場合は、間違いなく免許が取り消されます。そのような危険を犯してまで、不動産会社が「追い出し行為」を行うことは、まずあり得ません。
ただし、これは東京都内の話です。追い出し行為について、東京都外の不動産会社社長と話をしたことがありますが、「不動産会社の従業員が力ずくで追い出さないと、その不動産会社はオーナーから信用されないし、物件の管理を任せてもらえない。警察に持ち込む輩がいるが、警察官が『家賃を払わないあなたが悪い』と入居者を説教して終わり。不動産会社が責任を問われることはない。ここはそのような土地柄だ。」と言われたことがあります。
現在、東京以外では、力ずくによる追い出しが正当化される地域があるようです。しかし、いつまでもこのような状況が続くとは思えません。いわゆる「酒気帯び運転」や「あおり運転」の取り締まりや摘発が急激に増えたように、何らかの事件が大きく報道されると、行政はいつも突然、手のひらを返したように規制を強化して摘発を始めます。
将来において、力ずくによる追い出し行為により人が死傷する事件が発生し、大きく報道されることがあれば、行政は必ず対応を変えてきます。行政が態度を変えた場合、「今までは見逃してくれていた」と主張しても、「違法行為が行われた以上、摘発する」と言われて終わりです。
「追い出し行為により人が死亡することがあるのか」と思われるかもしれませんが、冬の北海道や東北地方、甲信越地方等で追い出し行為が突然行われた場合、被害者が凍死することがあり得ます。この場合、力ずくで追い出した者は「未必の故意による殺人」を実行したと見做され、殺人罪に問われる恐れがあります。決して大袈裟ではありません。
そして追い出し行為を依頼したのがオーナーである場合は、オーナーも刑事責任を問われる恐れがあります。
力ずくによる「追い出し」はお勧めしませんし、不動産会社や管理会社に求めるべきではありません。何らかの事故が発生した場合に、民事上および刑事上の責任を問われる恐れがあるからです。
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