賃貸物件の入居者を募集する際に注意するべき事項(その1)

 賃貸物件のオーナー様から「入居者を募集したい」という相談を受けることがあります。このブログをお読みの方の中には、「入居者募集をしているものの、なかなか入居者が決まらない」と悩まれている方がいらっしゃると思います。

 特に、賃貸経営を初めて行う方、および賃貸物件を相続した方におかれては入居者がなかなか決まらない理由がわからないという方が多いのではないかと思います。夏は賃貸物件をお探しになる方が最も少なくなりますし、現在がコロナ禍であることも入居者が決まりにくい原因ですが、確認をしていただきたい箇所があります。

 今日は、賃貸物件の入居者を長期間募集しても入居者がなかなか決まらない場合におけるチェック項目について書きます。

1.家賃および共益費(管理費)の合計額が適正か
 適正でないために入居者が決まらないことがよくあります。入居者の募集をする際には不動産会社に希望家賃を告げると思いますが、相場を逸脱した金額でないかを確認する必要があります。

 不動産会社が勧める適正な家賃の金額に納得せず「私が決めた金額以外は一切認めない」として押し通してしまうオーナー様がいらっしゃいます。しかし、入居先を探している方は、近隣にある同グレードの賃貸物件の家賃相場を調べています。家賃が相場より高い物件は、入居先の候補から外れます。

 「以前に入居していた方の家賃と同額にしたい」と思っても、近くにある同グレードの物件の家賃より高額な場合には入居者が決まらない原因になります。

2.室内の汚れや設備の故障が放置されていないか
 以前の入居者が退去した後、室内設備の破損やクロスの破れ等がある場合には修繕及びリフォームを行い、ハウスクリーニングを行う必要があります。ところが、「入居者が決まり、敷金及び礼金が入金した後に修繕及びリフォーム等を行う」として修繕およびリフォーム、ハウスクリーニングをしないオーナー様がいらっしゃいます。

 これでは入居者はいつまでも決まりません。お部屋の内部は「商品」であるところ、汚い「商品」を購入するお客様はいません。

 以前の入居者が退去した後の修繕やリフォームを行う金銭がないのであれば、近いうちに税金や維持費も出せない状況に陥る恐れが高いです。大変申し上げにくいのですが、この場合は賃貸物件を売却するのが良い場合があります。

3.室内に悪臭が漂っていないか
 維持管理の費用支出を惜しみ、排水管の洗浄を長期間怠っている物件がたまにあります。このような物件では排水管から悪臭が発生し、室内に漂うことがあります。室内に悪臭がする物件を借りたいと思う方は誰もいません。排水管は定期的に洗浄することが必要です。

 室内が異様にかび臭いことがあります。これは換気が不十分なことと、室内の湿度が高いことに原因があります。入居者を募集する際は、時々窓を開けて換気する必要があります。なお、壁面や天井にカビが生えていると、入居先を探している方の印象は最悪です。清掃業者に除去を依頼することで対応します。 

 タバコ臭が残る場合は消臭剤で消臭します。困るのはペット臭です。ペット臭については有効に消臭できる消臭剤がまだ開発されていません。ペットの排泄物がフローリング床等にしみこんだ場合、そこがペット臭の発生源になることがあります。この場合は床板タイルの貼り替え等が必要になります。

 ペット飼育可の物件は、ペット飼育不可の物件における家賃相場の約1割増しで貸せることが多く、さらに入居者が早く決まることが多いですが、退去時におけるリフォーム費用はどうしても高額になります。室内にペット臭を残さないようにするためには「ペット飼育不可」として入居者を募集することをお勧めします。

4.雨漏りが放置されていたり、隙間風が入る部屋がないか
 天井板に雨染みがある物件は、工務店または瓦店に雨漏りの発生箇所を調査してもらい、雨漏りの修理後に天井板を張り替える必要があります。天井板に雨染みがある物件を借りる方は、ほとんどいません。

 窓から隙間風が入る部屋がある場合は工務店、建具店またはサッシ店に修理を依頼することで対応します。

※明日の投稿に続きます。